部下を叱ることが苦手な人も多いですが、逆に褒めることも苦手な方も多いのではないでしょうか。
「褒めると胡散臭くなっちゃうんだよね…。」とか「褒めると調子にのるから褒めたくない!」とか「褒めるほどのことをやってないから褒められない」とか。ケースによって状況は千差万別です。
小さな子供であれば「よくできましたね?!」と褒めるというか、おだてることができても、社会人という大人になれば「そのくらいできて当たり前だ。」と思ってしまうことも多いでしょう。
しかし、褒めることは思いの外重要です。
なぜなら人間の根源的な欲求に『承認欲求』というものがあり「人に認められたい!」と言う気持ちを誰でも持っているからです。
この記事ではただ褒めるだけではなく、褒めることで部下の成長を促す正しい褒め方をご紹介します。
褒める理由とは?
例えば自分が学生時代好きだった科目とかってありますか?好きだった科目って、「うお!すげー!」とか褒められることで嬉しくなりますよね。「もっとすごいことをして驚かせてやろう!」とモチベーションも上がるはずです。
でも、社会人になると、全員が自分の好きなことをやっているわけではないので、中には全然モチベーションの上がらない人もいます。
つまり、もともと好きなことをやっているなら「うお!すげー!」とかでOKなのですが、本人が自発的なモチベーションを持っていない時には”どう褒めるか?”が大切になってきます。
ここで大切なのは、褒める理由です。
多くの陥りがちなパターンは「好かれたいから、褒める」です。
『人に好かれる褒め方』、こんな本のタイトルで見たことありませんか?
確かに売れそうですが、そもそも論として、「好かれたいから、褒める」というのが根底にあるということになります。「後輩に好かれたいから、だから褒めよう」と思っている上司を好きになれるかといったら、結構キツイですよね。全然心がこもっていません。
「私のことは全然考えてくれてない、結局自分の評価を上げたいから褒めてるだけじゃん!」って感じです。
優秀な上司とは「好かれたいから、褒める」ではなく、「その人の長所を伸ばすために褒める」のです。
結果を褒めてもほとんど意味はない
じゃあ、具体的にどう褒めれば部下は自発的に成長できるようになるのか?ですが、まずダメなパターンから見ていきましょう。
例えば、部下のAさんにとある仕事を任せたとします。
Aさんにとってはちょっと難しいけど、できないほどのレベルではなく、やればできる仕事だとします。
もしAさんがその仕事を完遂したとしたら、あなたはどう言う言葉で褒めるでしょうか。
・「よくやった!やればできるじゃん!」
・「ありがとう!Aさんならできると思ってたよ!」
・「よくできたな!次はもっと難しい仕事を任せよう!」
もちろんこれらの褒めかが悪いとは言いませんし、言われて嫌な気がする人も少ないでしょう。
しかし、相手を成長させるために褒めるには、これだけではNGです。一瞬気持ちよくなると思いますが、ただそれだけで大切な部分が抜けています。
勘の良い方はすでに気づいているかもしれません。
過程を褒めればさらに結果が伸びる
じゃあどうすれば相手を成長させる褒め方になるのか?というと『過程を褒める』という方法です。
先にご紹介した『結果を褒める』って、極論をいえば一緒に仕事をしたことがない人でも言える褒め言葉です。最終的な結果なので、他の部署の人でも、他の上司でもできる褒め方です。
「あの仕事を終わらせたの?やるじゃん!」という風に。
しかし、その後輩のことをキチンと見ている人にしかできない褒め方があります。
それが『過程を見て褒める』という方法です。
例えば
・「Aさんの企画書、あれがかなり効果的で今回の仕事はスムーズに成功したよ!」
・「Aさんが?をすごく丁寧にやってくれたからこの仕事は成功したよ!」
・「Aさんの?がなかったら今ごろこの仕事は失敗してたよ、ありがとう!」
つまり『結果を褒める』とはそのまま『結果』しか見てないので、何もフィードバックがありません。
しかし『過程を褒める』とは、”何が良かったのか?”という原因をハッキリ褒めて上げているので、部下の意識としては「(なるほど、あそこを頑張れば今回の結果につながるのか!)」という気づきがあるのです。
もし次に同じ仕事を任されたらAさんは褒められた具体的な箇所をもっと頑張るでしょう。
また、過程を褒めることの副作用として「ちゃんと細かい所の頑張りも見てくれてたんだ!」という承認欲求も満たされます。
「いつも机の上が綺麗だね」「字が綺麗だから読みやすいよ」「挨拶が元気だから気持ちいい」など、自分が何気に頑張っていることを褒められたら嬉しいですよね。
褒める人によって褒め方を変える
ここまでの方法を取り入れることでも、部下の成長スピードは大きく変わるとおもいますが、もっと効果的な方法をご紹介します。とはいえ、ワンステップ上の観察眼が必要なので、できる人は活用してください。
人には2つのタイプがあります。
・自分が褒められて嬉しい人
・他人の役に立てて嬉しい人
の2パターンです。
男性は前者、女性は後者が多いと言われています。
では具体的な例を出してみましょう。
・「Aさんの仕事っぷり、課長も褒めてたよ」
・「Aさんがしっかりしてるから、みんな安心して仕事ができるよ」
前者はAさんを直接評価する方法で、出世欲がある男性的なタイプに効果的な褒め方です。
一方後者はAさんを縁の下の力持ち的な存在として認める方法で、「他人が喜ぶのが自分の喜び」と感じる対タイプの人に効果的な褒め方です。
例えば、出世欲がある人に後者の褒め方をすると「俺を褒めてくれよ!」と思うし、表に立ちたくない、目立ちたくない人に前者の褒め方をすると「出世したらプレッシャーが大きくなるから、細々とみんなを支えるタイプの仕事の方がいいな…」と思うでしょう。
褒め方一つで相手の受け取り方が変わるので、「こうすればいい!」という正解はなく、その人自身を見抜ける観察眼が必要な方法ですが、超効果的なのでぜひ実践してみてください。
■まとめ
今回の記事をまとめると、部下を成長させる褒め方のコツは
・「好かれたい」という下心で褒めない
・『結果』だけを見て褒めない
・その人が頑張った『過程』を褒める
・人のタイプによって褒め方を変える
です。
仕事だけなく、人間関係全てで使える方法なので夫婦間でも使えるし、子供の教育にも使えます。ぜひ活用してください。