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調剤薬局事務員の仕事とは~先輩の体験談とメッセージ

いまや調剤薬局の数はコンビニよりも多い約6万店にもなります。調剤薬局事務員さんのお仕事は、そのぶん求人数も多く人気のお仕事です。

今日は、調剤薬局事務の仕事に興味を持っている方、仕事内容は大変って聞くけどどうなのかなって思っている方へ、調剤薬局事務員の仕事内容ややりがいをご紹介したいと思います。私は実際に10年ほど調剤薬局事務をやっていましたので、リアルな生の声をお届けします。

 

1.私が調剤薬局事務員として働きだしたきっかけ

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私は出産を経験する約5年前まで10年ほど、地方の門前薬局の事務員として勤務していました。今でこそ調剤薬局事務員は特に女性に人気の高い職種ですし検定すら存在しますが、私が勤め始めた頃はまだそこまでメジャーな職業ではありませんでした。かくいう私も最初は薬局事務員としての勤務を希望していた訳でもなく、転職先を探していたハローワークで初めて募集を目にしたのが最初です。

 

募集が掛けられていたのは地元の小さな調剤薬局の事務員

その頃、私は既に別の仕事の内定を貰っていたのですが、「転職するなら出来るだけ安定した仕事に」との両親の願いもありもう少しだけ転職活動を延ばそうとしていた、その矢先でした。

調剤薬局の事務員と言われて当時の私がイメージしたのは、やはり薬局の看板となる優しそうなお姉さん。当時は資格なんてものがメジャーではありませんでしたし、それ以前に私の前職は営業。調剤薬局や事務員とはまるで縁のない場所で働いていたわけです。先方は至急の募集だからということでたちまち面接日が決まったので、調剤薬局の基礎的な知識は勿論のこと何の用意もできず不安を抱えたまま面接に向かいました。

 

面接の様子

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薬剤師でもある社長との1対1形式で実際の店舗で行われた面接内容は、面談に加え簡単な計算問題。計算といっても最大3桁同士の足し算や引き算といったもので、時間制限はありましたが問題の合否はそれほど気にされていない様子でしたね。

店舗自体は幾つかありましたが巨大チェーンというわけではないので、薬局によっても勿論面接内容にはそれぞれ差があるのだろうとは思います。「薬局事務の経験はあるか」と尋ねられ、ないと答えても「一生懸命やってくれればすぐに慣れるから」との返事。実際2日後には採用の電話を受け、晴れて私は調剤薬局事務員として働くことになったわけです。

 

資格よりも慣れが大切

勿論、経験や資格など、何らかの知識があった方が有利ではあると思います。しかし実際何の知識もないまま採用された私でも、実際の業務に携わってみて薬局事務としての仕事内容にそれほど苦労があったわけではありません。「習うより慣れろ」とはよくいったもので、全く未知数の世界に四苦八苦しながらも日々重ねていった経験が、最終的には薬局事務員として働く基礎になったのだと思います。

 

会社と従業員はタイミングが結びつけるもの

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会社と従業員とは正に縁であり、それはその時々のタイミングや運が結び付けるものだと感じます。

私が採用された薬局のベテラン事務員が急に止めてしまったこと、それに伴い明日にでも代わりの事務員が欲しかったこと、出来るだけ時間の自由が利く若い事務員を求めていたことなど、先方の需要とこちらの供給が偶然にも最高のタイミングで合致したのが、私の場合非常にラッキーな巡り合わせだったといえるでしょう。

資格や経験は大切ですが、それ以上に効果を発揮するのは、面接での印象や需要と供給のタイミング。就活、特に転職活動においては決して珍しくないケースだということを是非1つのチャンスとして心に留めておいて頂きたいです。

 

2.【調剤薬局事務】毎日の業務内容

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言わずもがな調剤薬局は基本的にお薬を処方された「患者さん」が訪れるところ。薬を調剤するのは薬剤師なので、事務員はその仕事がなるべくスムーズに行えるようサポートすることが第一に求められます。

私が勤めていた店舗では来てくださった患者さんの処方箋をまず私達が受取り、それを調剤薬局用のソフトに打ち込むことから始まります。処方された薬を受けとる際に払う「お薬代」とは薬の単価は勿論、調剤代などを点数計算したものを金額として数値化したもの。事務員の仕事は、この数値を計算することが主な業務になります。

薬価の計算といっても基本的には調剤薬局用のソフトがしてくれるため、私がやることは、それらを足し算して最終的な金額を出すことです。またお薬に付いている情報文書を印刷したり、薬袋と呼ばれる袋に薬名と患者さんのお名前を記入するのも仕事でした。

 

・例え忙しくても迅速な作業、ミスのない正確な作業を

私の勤務していた店舗は主に小児科と耳鼻科の担当でしたが、かなり流行っていた病院の門前薬局だったためとにかく毎日ハードでした。患者さんは毎日200人超え、それを事務員2人薬剤師3人で捌かなければいけないわけですから、とにかく必死に業務をこなしていたのを覚えています。

調剤の時間を短縮するため、病院と薬局直通のファックスで患者さんが来店する前に処方箋が送られてくるわけですが、1分1秒でも速く調剤室に控えている薬剤師さん達に情報を回すためとにかく必死の作業でした。

勿論ミスのないよう、パソコンを打つ事務員と薬剤師とで二重三重のチェックが行われます。それでも最初の作業がつまづくと後々まで響き、最終的には待っている患者さんに迷惑を掛けることになってしまいます。とにかく迅速な作業、ミスのない正確な作業が求められる職場でした特に繁忙期や時間帯によっては、集中力を極限まで高めて業務をこなすといったような日々が続きました。

もちろん病院の混み具合によっては全く状況が変わってくるわけで、そういった意味では緩急の差が非常に激しい職場だったと言えるかもしれません。

 

月1度のレセプト業務

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普段の業務とは別に、月に1度レセプト業務というものがありました。その月の処方箋の内容や点数を各保険組合に提出する業務です。

膨大な数の処方箋を纏める作業であり、最初は紙での提出だったこともあり不慣れも手伝ってかなり苦労しました。電子レセプトに切り替わってからは以前よりかなり早く、スムーズに作業を終えることが出来るようになりました。

 

調剤薬局事務員は「事務職」であると同時に「接客業」

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体調を崩して来られた患者さんを迎える最初の顔が無愛想だったり素っ気ない態度であったなら、その後対応する薬剤師が幾ら丁寧でもやはりその店舗のイメージは悪いままですよね。調剤薬局事務員は「事務職」であると同時に「接客業」だとも私は思っています。

 

3.【調剤薬局事務】仕事のやりがい

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常連の患者さんが名前を覚えてくれたり、薬剤師に信頼されていると実感できた時はやはり、やりがいを感じるものです。

大きな達成感というものは得にくい反面、日々地域の人々と関わり健康的な生活のためのお手伝いをしているという充実感を噛み締めることができる、それが魅力的な職業ですね。

 

 

4.調剤薬局事務員になりたい人へメッセージ

調剤薬局の主役はあくまで薬剤師

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調剤薬局の主役はあくまで薬剤師です。患者さんは病気を治す薬を求めて来店されるので、薬局事務員は薬剤師と患者の間を取り持つ存在であり、また業務がスムーズに行えるよう補佐する立場にあります。

 

資格よりも経験値と対応力

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経験上、たしかに言えるのは、この職業では資格よりも経験値やその場その場に応じた的確で機敏な対応力がものをいうことです。業務をこなすにあたって必要な調剤薬局用のソフトは限られていますし、操作に関してもそれほど難しいものではありません。年代に関係なくある程度パソコンを使うことさえ出来れば、2週間もあればコツを掴めてくると思います。

大抵の職業にいえることですが、重要なのはいかに迅速に正確に、仕事に真摯に向き合えるかどうかということ。算数や計算が苦手だからといって臆する必要はありません。点数計算は主に電卓で行いますし、ある程度慣れれば基本的な薬剤ごとの組み合わせも自然と頭に入ってきますので大丈夫ですよ。

 

地域、店舗にもよるが、正社員の枠は少なめ

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調剤薬局事務員は薬剤師と比べ国家資格があるわけでもないので、ある程度の人であれば働くことはできます。求人数も全国どこでも多いと思います。

正社員での雇用募集は少なく、大抵の薬局がパートやアルバイトをメインに雇っています。実際私が勤めていた店舗でも正社員雇用はほとんどなく、働いていたのは子育ての終わったパート主婦さんが多かったです。

私は出産を機に退職を決意しましたが、それも産休や育休を対応できないからという理由からでした。ただ、以前に比べると、随分女性が働きやすい社会になりましたし、店舗や地域によっては産休育休に対応しているところも増えています。

 

さいごに

アンテナを張り、情報の収集を。

調剤薬局事務員を一生の仕事として選びたいのならとにかく福利厚生の整った店舗での勤務をおすすめします。そうでなくても、短時間勤務での仕事を探している主婦の方や、決まった時間だけ仕事をしたいという女性にはうってつけですし、そういった意味では、近年調剤薬局事務員が女性に人気が高い職種だというのは分かるような気がします。

最近は病院だけでなく薬局においても電子カルテ体制が増え、事務員の間口は狭くなっています 。そういった中で差別化をはかるための資格検定は有効かもしれませんが、それよりも重要視されるのはやはり経験であったり、私のようにたまたま良いタイミングが重なったという偶然のチャンスも必要でしょう。そのためにはまず情報収集の手間を惜しまず、日々更新される採用情報にアンテナを張り巡らせておきたいものですね。

 

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