セールスや人に何かをオススメしたり売ろうとするときの鉄則として「メリットではなくベネフィットを言え!」というのがよく言われています。
「その商品の説明ではなく、その商品を買うことでお客さんにどういうベネフィット(利益)があるか?」ということを言うということです。
例えば主婦に高性能なカメラを売りたいなら「このカメラは高性能です」という説明をするのではなく、「このカメラは高性能で、一生に一度しかない子供の入学式なども綺麗に撮影して保存できます」などと、商品を買うことで得られる利益を提示すると人は購入しやすくなります。
セールス、商談、交渉、どんな場面でも使える知識ですね。
これは結構いろんなところで言われているので知っている人も多いかもしれません。
この記事では世間ではあまり知られていない人間の購買心理について紹介します。
何か特別なスキルが必要という訳ではなく、たった一つのことを意識するだけでお客さんが「それ欲しい!」と思うようなテクニックです。
人間は損することが嫌い
心理学の世界では『行動経済学』という経済学に心理学を取り入れた学問があります。その中では「人は得することよりも”損しないこと”を選ぶ」と言われています。
すごく簡単に言うと「買ったほうがお得です!」と言われるよりも「買わなきゃ損です!」と言われたほうが商品を購入しやすくなるということですね。
よくバーゲンセールで「50%OFF!今がお得!」と表現されている広告を目にすると思います。これって50%OFFは”お得”だからお客さんが買いたくなって買っている気がしますよね。でも実際は違います。
50%OFFの商品をお得だから買っているのではなく、深層心理では「50%OFFなら買わなきゃ”損”だ!」と思うから買っているのです。無意識に定価の値段と50%OFFの値段を比較して、「今買わなきゃ損する!」と思うのです。
これは誰でも経験したことがあると思います。
この記事を買いている今現在もネットショップのAmazonではプライムセールという年に一度のバーゲンセールをやっています。
商品を見ていると50%~60%OFFの商品があって、見ているだけで「ああ…買おうかな…」と思ってしまいます。笑
でもよ〜く自分を観察すると、自分にとって必要な商品ってそんなにないんですね。
どちらかというと「こんなに安いなら、今買わなきゃ損だ!」と無意識のうちに考えてしまっている自分がいます。
このように人間は、お得な方を選んでいるつもりでも、無意識では損することを避けているという行動をとります。
買わないことのデメリットはなにか?
じゃあこれを「セールスや商談でどう言う風に応用するのか?」というのが気なるところですよね。この答えは簡単に言うと「買うことのメリット」ではなく、「買わないことのデメリット」を伝えるということです。
お客さんとはできるだけお金を出したくないと思っているので、どんないい商品があっても基本的には買わない方向で考えていることが多いのです。
つまり、その心理を見抜いて「買わないほうがデメリットが多いですよ」と言うことを伝えるということです。
例えば、お客さんが「この商品、欲しいけど10万円はちょっと高い」という理由で商品の購入を悩んでいるとします。
そのときに「買わないデメリット」を伝えるとどうなるか?というと、下記のような感じになります。
「この商品、値段はするんですが、買えば写真も動画も最高の画質で記録することができます。もし5年使うとしたら1年あたりたった2万円です。3万円くらいの安い機種を買い替え続けるより、いいものを買ったほうが絶対にいいですよ!」
こんな感じです。つまり「安いものを買っていると、結局損しますよ。」と言うようなことを伝えるということです。
今回は高いものを売るという例題でお伝えしましたが、「買わないデメリット」は自分が取り扱っている商品をよ〜く観察すれば必ず一つは見えてくるはずです。
買う理由は『なぜ』の中にある
セールスIQが高い人は必ずセールスの前や商談の前に『なぜ?』を問いかけます。
「なぜこの商品はいいのか?」「なぜこの商品を買うべきなのか?」「なぜうちの会社と契約するべきなのか?」ということを問いかけます。
というのも、多くの人は「なに?」にフォーカスします。
「うちの商品は何がいいのか?」「何をすればお客さんはこの商品を買うのか?」「何があればうちの会社と契約してくれるのか?」
しかし、人の心を動かすのは「なぜ?」です。
モチベーションコーチでありコンサルタントのサイモン・シネック氏は「優れたリーダーは『なぜ?』を語る」という講演を行ったことで有名です。
例えばソンフバンクの孫正義さんなどは会社のビジョンを語る時には「ソフトバンクは何をするか?」を語ると同時に必ず、「なぜソフトバンクはこのような活動をしているか?」を語ります。
上司でも「これをやってくれ」と『なに?』しか言ってくれない人より、「これは〜だから、これをやってくれ」という風に『なぜ?』を語る人の方が信頼されます。
つまりセールスをするときにも『なぜ?』を入れると言葉の力は強くなるということです。
まとめ
ここまでの内容をまとめて組み合わせると、強力なセールストークや商談ができるようになります。
・人の行動原理のほとんどは「損しないように」
・買わないデメリットを提示する。
・『なに?』ではなく『なぜ?』を語る
このポイントを押さえておくとセールス力は確実に向上します。