どんな仕事でもそうですが、意思決定において客観的思考は必要不可欠です。もしも独断と偏見だけで仕事の意思決定を行ったら、客観性を著しく欠いた判断になってしまいかねませんよね。ワンマンでグイグイと引っ張るように意思決定していくことも、時には必要です。
ただそれは一社員というより組織のトップに求められる能力ですから、それよりも客観的思考が現場では求められます。
そこで仕事の意思決定で忘れてはいけない客観的思考とは具体的にどういう思考を指すのか、基本的な考え方を噛み砕いて説明していきます。
私情を挟まないで意思決定を行うのが客観的思考
仕事に私情を挟めば、客観的思考はどうしても失われていきます。誰でも私情はありますから、思ってしまうことは止められません。ただそれを仕事の意思決定にまで影響させてしまうのはいいことではありませんので、意思決定で客観的思考を忘れてはいけません。
たとえば完全にプライベートな理由でどうしても早く退社したい場合などがそうです。
仕事が残っていなければもちろん定時で退社して構いませんが、残っているなら残業するのが普通ですよね。にもかかわらず客観的思考をせず、私情を挟んで定時上がりの意思決定をしたら、その場はやり過ごせても後々悪影響が出てしまうのは想像に難くありません。
客観的思考をしなかった意思決定が、マイナスに作用してしまう典型的な例です。
また私情を挟んで楽な仕事ばかりを選ぼうとするのも、客観的思考がない意志決定のパターンです。
単にやりたい仕事だけを最優先させるのは、客観性を著しく欠いていますよね。仕事のできるできないはありますし、上司からの指示に従わないといけないというのもあります。
ただ仕事を全体的にみてどの仕事を選択するのか決めるのが、客観的思考に基づいた意思決定です。その選択には私情を挟む余地がありませんので、最も合理的な選択になるのはいうまでもありません。
与えられた最低限の仕事さえしていればいいと割り切ってしまえば、私情がどうしても挟まってきてしまいます。ですがそのような自分本位な仕事の選択をしていたのでは、上司からの評価は上がりません。
視野が広くて客観的思考のできる社員にならないとワンステップ上には残念ながら行けませんので、よく意識したうえで意思決定することが大切ですよ。
上司や同僚の配慮を客観的思考で感じ取る
もしも客観的思考を見失っていたら、上司や同僚の配慮にも気付きにくくなってしまいます。上司や同僚に気にかけてもらうのは、決して当たり前ではありませんよね。むしろ配慮してもらえるのはとても幸運なことなので、気にしてもらえていることをありがたく思わないといけません。
上司がミスのフォローをしてくれる、遅れている仕事を同僚が手伝ってくれるなどは、上司や同僚の優しい配慮です。それは当然だと思ってはいけない類のものだということは、客観的思考を意識してさえいればすぐにわかります。
その配慮に恩義を感じたなら、いつか返そうと思うのが筋を通した考え方です。
ですが客観的思考を忘れて自分本位に考えてしまったら、上司や同僚の配慮は当たり前のように思ってしまいます。当たり前だと思っているのですから特別感謝をするわけでもありませんし、酷い場合だと配慮してくれた上司や同僚に対してさらにわがままを言ってしまったりします。
人は自己中心的になると客観的思考をまったくもたなくなりますので、そうなってしまうと傍から見て「嘘でしょ」と思うような行動を取ってしまうことがあります。
もしも恩を仇で返すようなことをしていれば、人はどんどん離れていきます。これは客観的思考を持たないで好き放題やってしまったがゆえの反動ですから、上司や同僚の配慮に対して当然だと思ってはいけません。
ここまでやってくれるのはありがたいと客観的思考でもって判断すれば、人が離れていくようなことにはなりません。
重要な意思決定ほど客観的思考を意識
仕事ではいくつか重要な意思決定を迫られる場面がありますが、そんな時こそ客観的思考を意識すると正しい答えを出しやすくなります。意思決定ですから個人的な意見はもちろんあってもいいですし、自らの考え方をすべて封じる必要はないです。すべてを客観的思考に委ねてしまえば、それはそれで気持ちの整理がつかなくなってしまいます。
それだと逆に後悔しかねません。
ただ重要な意思決定になるとどうしても客観性を見失いがちになってしまいやすいですから、判断に迷うなら客観的思考を意識したほうが結果的にいい判断を下しやすくなります。利益をシビアに追求する、将来的なことをふまえて新人を育成していく、チームの人選を行うなどは、個人的なことよりも客観的思考で考えていかないと結果につながりにくくなってしまいます。
プライベートの趣味や余暇の過ごし方ならば個人的な意見をいくらでも出して構いませんが、仕事の場合はそれだとよくありません。最優先させなければいけないのは「いい仕事をするための意思決定」ですので、場合によっては個人的な意見を強く主張しないことも必要になってきます。
客観的思考をしたからといってすべてを我慢しなければいけないわけではありませんが、かといって独断と偏見ばかりの意思決定では先がありません。
重要な意思決定になればなるほど客観的思考の重要度は増していく傾向にありますので、よっぽどのことがない限り客観的思考を意識したうえで意思決定したほうが上手くいきやすいですよ。
客観的思考で冷静さを常に保つ
客観的思考のいいところは、冷静さを常に保つことができる点です。私情を挟めばどうしても我が強く出てしまい、冷静さを保つことができません。
客観的思考とは自分以外の視点から物事をとらえていく思考ですから、我が強く出てしまうようなことにはならないのです。
仕事の意思決定はどこかではっきりと決めないといけないのは事実ですから、我を通す面も少しはないといけません。ただやはり、客観的思考を忘れることなく冷静さを常に保っていたほうが判断ミスをしにくくなるので、仕事で何かの意思決定をする際は客観的思考をよく意識したほうがいいでしょう。