仕事をする上でコミュニケーション能力は大切な力の一つです。
「いや、それはわかってるんだけど難しいんだよね…。」というのが本音ではないでしょうか。
私自身も学生時代に先生から「コミュニケーション能力がないやつは社会に出たら苦労するぞ!」と言われた記憶があります。
人事部の採用担当者を対象にしたアンケートでは「コミュニケーション能力を重視する」という答えが一番多いと言われています。
これだけ「コミュニケーションが大事!」と言われれば、大事な気がしてきますよね。
だからこそコミュニケーション能力を伸ばそうとするはずです。
しかし、大切なのは大切なのですがコミュニケーション能力の落とし穴として「コミュニケーション能力が高いと人と仲良くなる」というものがあります。
コミュニケーション能力が高い人=人気者っていうイメージがなんとなくある人もいると思いますが、それは全く別の話です。コミュニケーション能力が高いとは、「伝えたいことを正確に伝える能力」のことであって、「誰からも好かれる」というスキルではありません。
ここを間違えると人間関係の絶えない人生になるので注意しましょう!
この記事ではコミュニケーション能力をあげる前に知っておきたい人間関係を楽にするコツをご紹介します。
全員に好かれる方法とは?
「職場の人間関係が良くない!良くしたい!」そういう相談を受けることがあるのですが、改善することはできても100%良くなるということは有りえません。
つまり全員に好かれる方法は存在しない!ということです。
人間関係とは2人以上が関わりあうことなので、どちらか一方でも改善する気がなければ改善することはできないからです。二人三脚で自分がどんなに全速力で走っても、もう一方の人のやる気がなければゴールできないように、コミュニケーションや人間関係というのは自分一人で成立するものではないのです。
「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」と心に決めて、いうだけではなく実際に活動して実績をあげ、さらにはノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサでさえ「あいつは偽善者だ!」と批判されていたくらいです。
つまり、どんなことをしていても仲良くなれない人間関係というのは存在するということです。それは前述したように、自分ではコントロールできない”他人”という自分以外の人と一緒に行うのがコミュニケーションであり、人間関係だからです。
人間関係の問題を減らすコツ
人間関係の問題で悩んでいる人の大きな特徴として「みんなと仲良くしなければいけない」と思っていることがあげられます。これは学校の先生や、親の教育からくるものでしょう。もしかしたらドラマやアニメのようなフィクションの世界の影響もあるかもしれません。
「みんなと仲良くしなければいけない」
これは極論をいうとマザー・テレサやイエス・キリストよりさえ成しえなかった実現不可能なことをしようとしているということになります。
実は人間関係の問題が多い人というのは「みんなと仲良くしなければいけない、したい」と思っている良い人が多いんですね。もちろん努力することは悪いことではないんですが、「全ての人と仲良くなることはできない」ということを受け入れることも必要です。
というのも「みんなと仲良くしなければいけない」と思った時点で人生は人間関係の問題だらけになるんですね。しかも解決できない不治の病のような感じです。
逆に「全員と仲良くなるのは無理だ!いろんな考えの人がいるからね!」と諦めた時点で人間関係はかなり楽(らく)になります。
イメージでいうなら、1万トンある巨大な石を動かそうとしたら「動かない!なんで!?」と問題になりますが、「いやいや、1万トンの石なんて動かないでしょ!笑」を諦めればそれは問題ではなくなります。
つまり、人間関係の問題とは自分が問題だ!と思った時点から問題になるということです。
コミュニケーションの目的を再設定する
「全員に好かれることは無理」ということが理解できればコミュニケーションがすごく楽になります。
間違えないで欲しいのは「嫌いな奴は無視しろ!」とか「嫌がらせをしろ!」ということではないという点です。あくまでもフラットに付き合うということです。
「普通に接して嫌われるんならもうしょうがない」という感じです。
それを理解した上で試してほしいのが『コミュニケーションの目的を再設定する』ということです。
これが何かというと、前述したように、人間関係の問題が発生するのは「この人に好かれたい(嫌われたくない)」という目的でコミュニケーションを始めることから始まります。
好かれたい(嫌われたくない)ということを目的にしていると「なんであの人はあんな言い方しかできないの!?」「私はこんなに優しくしているのに!」という風に相手が自分の思い通りの反応をしてくれないとイライラしてしまいます。
これはイメージで例えると彼女や彼氏にプレゼントをどういう気持ちであげるか?ということに似ています。
・「自分がプレゼントをあげたいからあげた」
・「相手に喜んでもらうためにあげた」
プレゼントをあげるという行為は同じですが、「これをあげればあの人は喜んでくれて、自分のことを好きになってくれるはずだ!」というのは、相手に依存した考え方ですよね。
100%喜んでくれるとは限らないので、もし喜んでもらえなかった時に「なんでプレゼントしたのに喜ばないの!?プレゼントして損した!」とイライラします。
でも「自分がプレゼントをあげたいからあげた」だと「喜ぶか喜ばないかは分からないけど、普段から感謝してるからプレゼントしたんだよ」という考え方だと見返りを求めていないので、相手の反応には依存していません。
仕事でも同じです。
「ご機嫌を取るため」や、「気に入ってもらうため」という目的でコミュニケーションを取るのではなく、自分が「これは言ったほうがいいな」とか「これは伝えるべきだな」と思うことを伝えるべきです。
つまり、好かれるためではなく、仕事をキチンと達成することを目的としてコミュニケーションを取るということです。
まとめ
「コミュニケーション能力が大事!」と言うことが先行して、『人の心を操る心理テクニック!』などが流行っていますが、まず前提として「なんのためにコミュニケーション能力をつけるのか?」ということをしっかり見直すことが大切です。
「全員と仲良くなれるわけがない」というちょっと悲しい現実ですが、これを受け入れることで人間関係の大半の問題はスパッとなくなります。
ぜひ参考にしてください。