マネジメント

こんな組織はダメになる②「『報連相』さえできればOK?」

会社に入ると新人研修で「報連相」の必要性について教わります。
「報連相」とは「報告・連絡・相談」のことで、常に上司とコミュニケーションを取るべきであるという考え方です。

しかし、「報連相」さえしていればコミュニケーションはうまくいくものなのでしょうか。

失敗しがちな「報連相」の勘違いについて紹介します。

1.責任を感じなくなる

毎日帰り際にその日の仕事の進み具合を上司に報告する、変わったことがあったら連絡をする、分らないことがあったら相談するというのは、とてもやる気の感じられる好感度の高い部下に思えます。
上司も喜んで報告や連絡を受けたり、相談に乗ったりするでしょう。

しかし、いつまでもベタベタとした「報連相」をしていると、部下に責任感が芽生えません。
なぜならば、全て上司に「報連相」して承諾を受けてから行動しているからです。

もしもミスをしても「上司がちゃんと確認してなかった」「上司がそれでいいと言った」と思ってしまうでしょう。言葉では「すみません」と言いながら、陰で「やってらんない」と愚痴を言うようになるのです。

「報連相」は毎日する必要はありません。

これは上司が気付かなければならないことなのですが、部下をしっかりと見守り、ある程度まで任せて仕事をさせることも大切なのです。

ミスをすることで、今まであやふやだったことが分ったり、他人とどのように仕事が繋がっているのか理解できたりすることもあります。

自分の仕事という自覚を持つことで責任感が芽生えてくるように考えましょう。

2.成果を出さなくてもいいと思ってしまう

Businessman looking down at the falling red arrow destroying a concrete barrier. Collapse and drop. Fall and depreciation. Regression and deterioration. Crisis.

会社というのは商品やサービスを提供して利益を得るために働く場所です。
どんな仕事でも、最終的な利益を考えて行うべきであり、事務職でも倉庫管理でも「成果」を出さなくてはならないのです。

しかし最近の企業の教育方針として、「結果ではなくプロセスを重視する」という傾向があります。
人材を育成する為には、結果ではなくどのように工夫したのか、どのように進めていったのかというプロセスを見て評価するべきであるという考え方です。

そこで大切なのが「報連相」になります。
「報連相」によりプロセスを見てその人材を評価することになれば、部下も上司に「報連相」をしていれば成果は問われないと勘違いするのです。

「報連相」をする時には、そのやり方でどうしたら成果を出せるか考えるべきです。
上司も「報連相」を受ける時には、ただ現状報告ではなく、自分でどのように解決したら良いかという意見も出させるようにすると良いでしょう。

プロセスは立派だけれども成果が出ないのは、結果的には失敗と同じことで、学ぶことは多くても利益にはつながらないことを周知させましょう。

3.無駄な時間が増える

Young boy looking up at a clock concept for deadline, anxiety and stress

ちょっとした空き時間に「報連相」をする・・というのが理想ですが、部下が暇でも上司が暇とは限らず、その逆もあります。どちらも暇という企業は余程仕事の少ない職場と言って良いでしょう。
「報連相」を多用すると、どちらかの貴重な時間が削られることになるのです。

「報連相」タイムは上司が決めて構いません。
困ったことがある時には随時、そうでない時には毎月1週目の〇時~〇時まで、などと決めて、ダラダラと「報連相」に時間をかけるのをやめましょう。

4.情報を操作する

人の心理として、上手くいっている時には何でも報告したくなりますが、自分に不利な部分があるとその部分は隠したいと思うものです。
ちょっとしたミスをしてしまい、現在対応中で大事にならずに済みそうだと思ったら、上司には報告しないのではないでしょうか。

「報連相」でミスを咎めるつもりはなくても、言えば心証が悪くなると思って黙っている部下も出るはずです。部下の方から連絡してきた内容がどこまで真実なのかは分りません。

「報連相」をする部下を評価して、普段全く「報連相」をしてこない部下に対して「大丈夫なの?」と言うことは得策ではありません。
逆に上手くいっている時には何も言わなくてもいいから、不安材料がある時に積極的に相談してくる雰囲気作りが大切なのです。

5. 報告の為に仕事をする

毎回「報連相」を推奨していると、部下は「今度は何を報告しようか」とネタ作りを始めます。
日常の些細なこと「パソコンの調子が悪くて手間どった」「メールの返信が遅れた」など、どうでもいいことを報告するようになります。

パソコンのトラブルはIT部門に言えば良い事で、メールの返信が遅れたら相手に謝罪をして次から遅れないようにすることで、特に対外的な問題が起きない限りは上司に報告する必要はありません。

「報連相」のネタ作りの為に仕事をするのは無駄なことで、作業の効率も下がるでしょう。
「それがどうした」と思う位にのびのびと仕事ができる様に、部下を育てる必要があるのです。

報連相は内容が大切!

「報連相」は大切な習慣ですが、「やればいい」と考えていると単なる「無駄なルーティン」になってしまいます。

自分の部署の「報連相」は本当に必要か、もっと生産性のある方法は無いのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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