問題の本質を正しく把握しよう
新入社員として新しい仕事を始めるといくつかの問題に直面する事があります。しかしそれは決して新入社員に限った事ではありません。
その仕事を何年か担当していた社員が他の職場や職種に異動しても同じです。そしてそれは係長でも、課長でも、部長でも、更に役員でも同じです。
仕事にはその立場に応じた問題が付きものですし、逆を言えば問題が有るからこそ課長や部長がいるのです。
ところが、その管理者たちでも「問題とは?」を正しく理解していない人が多いのです。
ですから新入社員やその仕事の経験が浅い人が「問題の本質」を理解していなくても不思議な事ではありません。
当たり前の事ですが、問題が分かればその発生原因を調べ、原因が分かれば対策が考えられ、その問題を解決する事が出来ます。従って、問題解決にとっての第1ステップは「問題の本質を正しく把握する」事です。
それでは簡単な事例で問題認識を確かめてみましょう。
あなたは大型トラックで荷物の輸送中です。
前方には分かれ道が有り、左側の海沿いの道は有料道路で少しだけ近道ですが、右側の山越えは一般道路です。あなたは少しの遠回りなら、と無料の一般道路を行きました。
暫く走った所で大雨になり、更に進むと崖崩れで通行止めになっていました。
さて、この「崖崩れ」はあなたにとって「大問題ですか?」それとも「ちょっとした問題ですか?」
この質問に対して、大であろうがちょっとであろうが「問題だ」と思った人には次のステップとして「発生原因」を考えて頂きます。
・問題
「問題=がけ崩れ」の発生原因です。
・発生原因
それは簡単で「大雨」ですね。
・それでは次のステップの対策は?
「原因=大雨」の対策です。
・・???
そう、それは気象庁の仕事かも知れませんが、あなたの仕事ではありませんね。
こうなってしまったのは最初の問題認識が違っているからです。
崖崩れ自体は国交省のどなたかにとっては問題かもしれませんが、あなたにとっての問題では無く、ただの「現状」なのです。
何故ならば、崖崩れで通行止めになっていたら戻って有料道路を行けば良いし、またはトラックの中で昼寝でもして復旧を待っていれば良いからです。
もしも、その現状の中に「問題」が有るとしたら、「有料道路の料金を持ってない事」とか「配送の納期が迫っている事」です。これこそがあなたにとっての「問題の本質」なのです。
そう正しく問題認識が出来れば、この事例での「問題」に対する「原因」などを追究する必要もなく、即「対策」を考えれば良いのです。何故通行料を持ってないのか? 何故納期が近いのか? などと考えてみてもここでは無意味だからです。
どこか別の一般道路で行けないかを検討する、とか、電話で事情を説明して納期を少し延ばして頂くようにお願いする、などが対策になりますが、気象庁に成り代わって大雨が降らないようにする為の対策を考えるよりはよっぽど効果があるでしょう。
と言うことで、「問題の本質を正しく認識しないと対策も違ってしまう」との事例でした。