「セールス」という単語を読むだけでちょっと心理的抵抗がある人はいるのではないでしょうか?なぜなら日本人にとってセールスとはどちらかというと”鬱陶しい”というイメージがあるかもしれません。今まででセールスマンに欲しくない物を進められ、話を聞くだけで時間と奪われた人も多くいるのではないでしょうか。
そういう経験をしていると、いざ自分がセールスマンになった時にお客さんに物を売ることに心理的抵抗が出てくるのも頷ける話です。
しかし、実際にはセールスマンが悪いワケではなく
・セールスが下手なセールスマン
・セールスが上手なセールスマン
の2パターンの人がいるということです。
誰もが「セールスが上手なセールスマン」になりたいはずです。
セールスが上手なセールスマンとは、お客さんにとってはセールスマンが『恩人』となることもありえます。
例えばあなたが持っているパソコンやiPhone、もしくはゲーム機やアクセサリーなどのお金を出したものも何かしらのセールスを受けて買っているはずなのです。
しかし、本当にうまいセールスマンとは相手に「セールスを受けた」とさえ思わせず買ってもらうことができます。
そのちょっとしたコツを今回はご紹介します。
高い物を売れるようになれれば最強!
「この商品を売るためにどうしたらいいでしょう?」という質問をされて「価格を安くすればいい」という答えを出すのはセールスマンとしてNGです。
というのも、「安くする」という方法は短期的に成果を上げることはできても、長期的な目線で見ると、他者との価格競争に巻き込まれる可能性が多いにあります。
なぜ断言できるか?というと「価格を安くする」というのは、安直であり誰でもできる方法だからです。
なんの技術もなくでも「価格を下げる」ということは誰にでもできますよね。例えば価格を表示しているラベルを書き換えるくらいなら小学生でも1,000円の商品を800円や700円に書き換えることができます。
もちろん戦略的に生産効率をあげて価格を安くし、回転率(商品の売上個数)を上げて利益を上げる、いわゆる『薄利多売(利益は少ないけど、多く売ることで儲ける)』は大企業でもやっています。牛丼屋チェーン店やファーストフード店、チェーン店居酒屋がいい例ですよね。
しかし、その大企業でも価格競争が激化してしまうと結果的に安い方にお客さんが流れるので、苦労することは歴史が証明しています。
『価格を下げることは短期的な効果はあるが、価格競争に巻き込まれる』これを前提に「じゃあ価格を下げずに、どうすれば商品が売れるようになるのか?」というのを頭を使って考える必要があります。
これがクリエイティビティであり、一度身につけると単純に価格を下げている店舗や会社に勝つことができます。
お金以外のメーターを持つ
では具体的に価格を下げずにお客さんに商品を買ってもらうにはどうすればいいのか?というと、まず『お金』という指標以外のパラメーターを持つ必要があります。
お金以外のパラメーターとはなんなのか?というと、
・時間=それを買うことでどのくらいの時間を節約できるのか?
・デザイン=そのデザインはどのように流行っているのか?
・機能=その機能を利用することでどんなベネフィットがあるのか?
などがあります。
もちろん上記の他にも商品によって掘り下げて行けばいろんなパラメーターが見えてくるでしょう。
ちょっとわかりにくいと思うので、具体例で説明していきますね。
例えば『洗濯機』をお客さんに買ってもらうためにはどのような視点で商品をみればいいでしょうか?
もし『価格』ということに目をつけたとして「この商品の相場は10万円だから、ここでは9万5,000円で売ろう」ということにしたとします。
セールストークは「この洗濯機は他社よりも5000円も安いですよ!」です。
一見お得に感じると思いますし、効果があるかもしれませんが単純に価格競争に巻き込まれます。「他社がもっと値段を下げて来たらどうしよう…。」という不安が常につきまとうということですね。
じゃあ、もし定価の10万円という価格を維持したまま商品を売ろうするならどんなセールストークの方法があるのか?ですが、まず『時間』という部分に目をつけてセールストークを考えてみます。
すると下記のようなセールストークが考えられます。
「この洗濯機はボタン一つで洗濯・脱水・乾燥の全てが終わります。なので実質的な洗濯の時間はたった1~2分かもしくはそれ以下です。
値段は10万円と一見高いですが、コインランドリーに行く必要も、洗濯が終わって干す時間も必要なし。毎日天気を気にする必要も無し!
この洗濯機を使えばこれまでの1?2時間かかっていた洗濯の時間がたった1分程度まで短縮でき、年間で考えれば360時間~720時間の時間が節約できるので、実質1ヶ月?2ヶ月分の自分の自由な時間が増えます。
1ヶ月?2ヶ月分の時間をたった10万円で買えると考えるとかなり安いです!
さらに2~3年…と使い続けるものと考えれば10万円なんて安いもんです。」
ちょっと大げさに書きましたが、『時間』という部分にフォーカスするだけで「たった10万円でこれだけの時間が節約できますよ」という提示ができますよね。
金額以上のメリットを提示する
表面的にみれば値段が安ければ良いと思うかもしれませんが、人がお金を支払うのは『金額以上のメリットを感じた時』です。
つまり、セールスのコツは相手の予算に合わせて商品の値段を下げるのではなく、金額以上のメリットを提示できるように自分の引き出しを増やしておくことが最大のコツです。
ある家電量販店で、ビデオカメラを購入しようとしている主婦の方がいました。
主婦がビデオカメラを買おうかどうか悩んでウロウロしているところにケータイの販売員が話かけ、少し話すと主婦の方はスマホを機種変してしまいました。
ビデオカメラを買うとしてたのに、スマホを買ってしまった主婦。ケータイのセールスマンはどんなトークをしたのでしょうか?
多分下記のようなものでしょう。
「ビデオカメラは重いが、スマホは軽い」
「スマホはビデオカメラと同じ画質で撮影できる」
「ビデオカメラはバッテリーの充電や三脚などが高い」
「スマホは感覚的にタップすれば撮影モードに入れる」
「結局最新のスマホ一台あればビデオカメラを買わなくて良い」
という風なセールスをしたのでしょう。
結果的にビデオカメラを買いに来た主婦は小さくて、軽くて、安くて、使い慣れているスマホを最新のものに機種変して帰ったのです。主婦であれば「子供の運動会でもこれ一つで思い出が残せますよ」という一言を付け加えてあげればさらに効果的でしょう。
つまり、主婦は「お金を出してでもこれが欲しい!」と思ったから買ったのです。
セールスの大原則は『金額以上のメリットを提示する』です。
買う気がある人に売る
・価格以外のパラメーターを意識する
・金額以上のメリットを提示する
この2つだけでセールス力はかなり向上し「そう!そんな商品が欲しかったの!!」とお客さんも喜ぶセールストークができるようになるでしょう。
しかしもう一つ注意点があります。
それは『買う気がある人に売る』ということです。
セールスの世界では
①買う気がない人
②欲しいけど、必要性をあまり感じていない人
③欲しいし、必要性を感じている人
④必要な人
の4タイプの人がいると言われています。
①の人にどんなベネフィットを提示しても購入してくれる可能性は少ないです。
②の人は時間をかければ買ってくれるかもしれませんが、かなりの時間を費やします。
”セールスが下手なセールスマン”は①と②のタイプの人にしつこくセールスをしてしまうので、なかなか商品を買ってもらえず「この人鬱陶しい…」という目線でみられるんですね。
そうすると自分自身にも自信がなくなってきます。
しかし敏腕のセールスマンは、①?④のタイプをしっかり見極めて「買う気がある人にセールスする」ということを心がけているので、売上の成績も良いし、お客さんに「そうそう、こういうのが欲しかった!」と感謝されるんですね。
要するに、商品の価値というのは商品自体にあるのではなく、手に取るお客さんによって商品の価値は異なるのです!!
例えば『古文・漢文で確実に100点を取れるようになる本』というのがあったとしたら、センター試験を受ける受験生なら5万円を払っても購入するでしょう。
しかし、一般的なサラリーマンなら「いやいや、そんなの会社では必要ないよ」と感じるはずです。どんなにトーク力があるセールスマンでも古文・漢文の本をサラリーマンに売ることは難しいでしょう。
セールスのコツその3は『買う気がある人に売る』です。
まとめ
最初にお伝えした通り、「セールスって良いイメージないなあ。」と感じている方はこれまでにしつこい、鬱陶しいセールスを受けたことがある方でしょう。
それは一重に欲しくない物をセールスされたからです。
もし営業職についているのであれば下記の3つの点に注意することで売上は必ず上がるはずです。
①商品の価格以外のパラメーターを意識する
②商品の金額以上のベネフィットを提示する
③買うつもりがある人に売る
特に②、③は自分が取り扱っている商品をいろんな視点で観察する必要があるので、じっくりとやってみてください。
視点が増えるといろんな発見があって仕事も面白くなるはずです。