パティシエを目指す方へ。先輩からのメッセージ
パティシエと聞いてまず思い浮かべるのはとても甘くて華やかな世界、ウエディングケーキのような装飾や細工で彩られた美しいケーキに囲まれたイメージもあります。
しかし現実的にはとても厳しい世界で、志す人の中には修行の厳しさに挫折してしまう人もいます。
それでも続ける人がいるのは、やはりお菓子作りの仕事にやりがいと魅力を感じるからでしょう。
確かに最初は辛いと感じるかもしれませんが、ある程度経験を積むといろんなお菓子を作れるようになります。
そして自分の作ったお菓子を実際にお客様に食べて頂いて喜ぶ声が聞ける、これがパティシエになって良かったと感じる瞬間です。
最近はパティシエールと呼ばれる女性の菓子職人も増えました。
一緒に働いたことがある女性たちはとても頑張り屋さんたちで、男顔負けの強さを持っています。
今後ますます女性の比率が高くなる可能性があると思います。
都内を見渡しても女性のオーナーパティシエも多くなってきていますし、世界的なコンクールなどでの活躍もよく見掛けます。
もちろん男性陣も負けずにやっていますから、パティシエを職業とする方々が全体的に増えているという印象です。
お店にもよると思いますが、朝はだいたい6?7時スタートです。?
パン屋ほどではありませんが、それに次ぐ早さと言っても過言ではありません。
また繁忙期と言われるクリスマス時期やバレンタイン時期は朝から夜遅くまでかかる場合があります。
あんなに小さくて繊細なお菓子を作る割に重い物を運んだりすることも多くて実は重労働です。
更に作業スピードも重要ですから結果的に一日の運動量はかなりのもので、比較すると料理屋よりもたいへんな印象があります。
そんなに大変なのにどうしてパティシエをやっているの? と思われるかもしれません。
でもやってみるとこれが何とも飽きなくて面白い世界なのです。
世界にはいろんなお菓子があります。
それを追い掛けるだけで何年必要なんだろうと思ってしまうほど奥が深い世界です。
また同じように見えて実はお店によってレシピもかなり違います。
意識の高いお店は一切妥協しない物作りでとても厳しく感じますが、出来上がったお菓子に誇りを持って日々仕事しています。
そんな職人がいるお店で働くと本当にいいお菓子を作らなければいけない使命感が生まれるのです。
作業の多くは道具を使いますが最終的には手作業であり見極めは職人の感覚、そこに愛着が生まれる理由があるのかもしれませんね。
最終的には自分のお店を持つか、シェフとして招かれるか、中にはフランスに渡って本場のお菓子作りを目指す人もいます。
そこにはいろんな形があるのですが、いずれにしても美味しくて美しいお菓子を作りたいという夢があってのこと、人の喜ぶ顔が観たい人には合っている仕事のひとつなのかもしれません。
迅速にかつ美しく正確に、これだけでも習得するのに時間が掛かる仕事なのですが、裏を返せば日々の努力がそのまま形になる仕事でもあり、その延長線に食べてくれる人がいる、それだけで素晴らしい仕事だと思うのです。
私は人より美味しいお菓子が作りたくてこの世界に入りましたが、その目標とそれに対する好奇心は今でも目指した頃と何ら変わりません。