臨床心理士とは
臨床心理士とは、心の悩みに取り組む心の専門職です。
心の問題を抱えた依頼者に対し、臨床心理学の知識や技術を用いて、問題解決のアプローチをする仕事です。
心理カウンセラーやセラピスト等、心の問題を扱う職業はありますが、心理系の国家資格のない日本の中で、最も権威ある資格が「臨床心理士」です。近年、心理カウンセリングのニーズが高まる中、大変注目されている資格です。
どうしたら臨床心理士になれるのか?
まず、臨床心理士という資格は、国家資格ではなく、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格することで与えられる民間の資格です。
この資格試験を受けるためには、大学を卒業後、協会の認定する指定大学院に入学しなくてはなりません。
それを卒業して初めて資格試験を受ける条件が得られるのです。
大学院を受験するには、心理英語や心理学の基礎に関する出題がされるため、準備が必要となります。
ですので、臨床心理士を早くから目指すのなら、心理系の学部・学科に大学進学することが勧められます。
臨床心理士の資格試験合格には、一次試験のマークシートと論述記述問題、二次試験の面接を6割以上得点することが必要です。
合格率は約60%です。
臨床心理士の資格を取ったら?
このように、臨床心理士になるのは決して簡単なことではありません。
それだけ高い専門知識や技術を必要とされているのです。
一般に心療系の仕事をする人を、「心理カウンセラー」と言いますが、心理カウンセラーと名乗るのには、特別な資格は必要ありません。
しかし、臨床心理士資格を持つということは、学問的裏付けのある人であるという点で、高い信頼を得ることができるので、その資格がないと就職できない仕事も多くあります。
臨床心理士の資格を持つと、様々な領域で仕事ができます。
医療の分野では、心療科や精神病院、保健所など。福祉の分野では、児童相談所や福祉施設等。
教育の分野ではスクールカウンセラーとして学校や教育センタ―等。
あとは裁判所や刑務所、一般企業のメンタルケアなど、心に関係する仕事はたくさんあり、臨床心理士の資格がなければ働くことのできない職種も多くあります。
臨床心理士に向いているのはどんな人?
臨床心理士として接するクライアントは、心に問題を抱えている人がほとんどです。
そのような状態の相手に、共感し、寄り添える「包容力」、クライアントが話しやすいように環境を作り、相手の話を理解できる「コミュニケーション能力」、クライアントの表情や言動から問題を察知する「観察力」、そして「忍耐力」などが、臨床心理士として働くうえで求められている資質です。
もちろん、どのようなクライアントに対しても「誠実に向き合う人間力」を必要とされているのは言うまでもありません。
臨床心理士の今後と課題
ストレスの多い現代において、心の問題を抱えている人は少なくありません。
スクールカウンセラーがほとんどの学校に設置され、職場でもメンタルケアが叫ばれている中、臨床心理士のニーズは年々高まっています。
とはいえ、臨床心理士の資格は国家資格ではないため、社会的地位がまだ確立されていない一面もあります。
しかし、数ある心療系の民間資格の中で、最も信頼性が高いのが臨床心理士の資格であり、就職するのに有利な資格であることは間違いありません。
専門的な学問を背景に持つ臨床心理士たちは、自信とプライドを持って日々働いています。
多くの臨床心理士たちは、毎日が学びの連続だと感じています。
決して楽な仕事ではありませんが、クライアントが自分のアプローチによって良い方向に向かった時、自分に新たな気づきがあった時、この仕事のやりがいを実感できます。
臨床心理士は、人の心に寄り添った仕事をしたいと思う人にとって、やりがいのある、大変魅力ある仕事だと言えるでしょう。