世の中には様々な仕事がありますが、どんな仕事においても必ず「仕事が早いか遅いか」、という物差しが存在します。
一般的には仕事の早い人の方が高い評価を得られる訳ですが、もしも早いだけで作業品質が伴わなければ評価は逆転してしまいます。
仕事が遅いと言われる人であっても、他の人と比べて非常に高品質な仕事をする人であれば、その人は間違いなく企業にとって価値ある人的リソースと言えるでしょう。
つまり、仕事の速さは大切だが、速さが品質よりも優先されることは無いということです。
職場において上司や同僚が発する「早い仕事」、「急ぎの仕事」には、一定の品質が担保されていることが大前提にあることを知っておく必要があるのです。早ければ雑でも良い、決してありません。
それではいわゆる仕事の早い人とは、どの様に作業品質を維持しながら、早く仕事を終わらせているのでしょうか?
実は「仕事の分類」にコツがあり、適切に分類することで限られた時間を有効に使うことが可能となるのです。
仕事に着手する前に瞬時に判断
膨大な仕事量を前に、来たもの、発生した作業から順に着手する様な人はあまり居ないと思います。
新人であれば、まずは素直に言われた順に作業する時期もあるでしょうが、ある程度の経験者であれば、その仕事の性格を瞬時に分類しているはずです。
ただ、多くの人がその分類を感覚に任せてしまっているために、周囲に人には理解できないことや、瞬時の分類を誤る場合が多いのです。
単純な例として、飲食店のウェイター(ウェイトレス)を考えてみましょう。
ある一組の客が、ハンバーグ、カレーライス、ホットコーヒー、アイスティをオーダーしたら、ウェイターはどのような分類をすべきでしょうか?最低限、次のふたつの分類は考慮すべきでしょう。
「客が同時に欲しいもの、時間差で欲しいもの」
「提供までに要する時間の長いもの、短いもの」
この分類の結果、導き出された次の行動は「ドリンクはいつお持ちしましょうか?」という質問であり、ハンバーグとカレーをなるべく同時に提供するための工夫となります。
実は多くの人が当たり前のように、着手前に瞬時の判断を実施しており、仕事を加速するために最も重要な術と言えます。
そしてこの分類方法を感覚に任せることなく可視化することによって、万能ともいえる加速術を手に入れることができるのです。
汎用性の高い仕事分類術
様々な仕事がある中で、仕事の内容によって異なる分類方法が存在していては、分類そのものに多くの時間を費やしてしまう危惧が生じます。そこで極めて汎用性の高い分類方法を考えてみましょう。
分類の軸はたったのふたつ(縦軸・横軸)で、縦軸・横軸をそれぞれふたつに分類した四象限に分類します。
縦軸には「難しい」と「簡単」を、横軸には「すぐにできる」と「時間がかかる」を置きましょう。
「時間がかかる」と「難しい」は似て非なるもので、前者は実現方法が判っているが量が多いといった仕事であり、後者は実現方法から調べなければならないような仕事を意味します。
分類ができたら、次は四つの象限のどこに分類された仕事から着手すべきか、ということになります。
結論から言えば、人それぞれ、性格次第ではあるのですが、圧倒的なお薦めは①から着手することなのです。
「時間がかかるものから着手しないと不安で・・・」という人は②から着手しようとします。
ただ、②は時間がかかると分類した通り、成果を実感できないまま長い時間仕事を続けなければなりません。
一方、①はすぐに成果を実感できるため、仕事に弾みがつくという特典があるのです。
まず①を着手したら次にどれに着手するのかは仕事や自身の性格、好みで判断してみてください。
分類数を多くせず最大で4分類と考えることが重要なポイントです。
上記の分類はたいていの仕事に当てはめられる汎用性の高い例として紹介しましたが、よく用いるもうひとつの軸に「重要/重要でない」を用いることもあります。
重要度は顧客への影響範囲、金額の大小、依頼主の立場など、様々な場合がありますが、比較的利用しやすい軸ですので、併せて使ってみるのも良いでしょう。
特殊な仕事分類
学生の受験勉強や、アルバイトでは該当しない、特殊な分類軸が存在します。
それは、「持久力を必要とする仕事と、持久力を必要としない仕事」の別です。
持久力を必要とする仕事とは、成果・結果が出るまでに数年・数十年といった長い時間を要する類の仕事、あるいはそもそも短期的成果を求められない仕事を意味します。
宇宙や自然を相手にする研究職、公務員の仕事もこの分類に該当する様に思います。個人的にはあまり接点のない職業ですが、持久力を伴って仕事に従事されている方々のおかげでこの社会が成り立っているのも事実でしょう。
自身の仕事内容、性格を考慮し、着手前に適切に分類することで、仕事は確実に加速できます。
これは多くの人にとって新たなチャレンジではありません。今でも感覚的に日々行っている行動を、可視化、標準化するということです。ある程度仕事に慣れ、さらに効率化したい、もっと有効に時間を使いたいと思い始めた時には、適切な分類表作成と着手前の瞬時の判断を、ぜひ試してみてください。