人間が行うことにミスがつきものであることは、毎日のニュース番組で、交通事故の原因や飲食物に混入されてしまった異物の原因が人為的なものであったとの報道からも明らかです。
超一流のプロゴルファーでも池にボールを落とすというミスショットがあるのですから、ミスを犯さない人間などはいないと言っても過言ではないでしょう。
だからと言ってミスを犯すことが悪いことではないというのではなく、人間とはそれほどミスを犯しやすいものなのだということです。
ミスの種類から知る言い訳できないミスとは
そんなミスではありますが、その原因から分類すると次の二つの種類に分けることが出来ます。
一つは、作業としてはそれほど難易度が高くないのに、その作業者が注意を怠ることによって起きるミス、所謂ケアレスミスです。
そしてもう一つは、例え細心の注意を払って行っても難しい作業であるにも関わらず、それを行う作業者の経験や技量が不足していることによって起きるミス、即ちスキルレスミスです。
その二つのうち、スキルレスミスに関しては、その作業者だけの責任とは言えず、その作業者にその作業の実施を指示した者にもある程度責任があると言えますが、ケアレスミスだけは100%作業者本人の責任ですので決して言い訳は出来ません。
簡単な作業だからこそ犯しやすいケアレスミス
仕事の中にはそれほど経験やスキルを要さない簡単な作業がありますが、ケアレスミスというのはそうした簡単な作業の場合に起き易いと言えます。
そこに気の緩みという人間による作業の怖さがあり、であるからこそミスを犯さない人間などはいないとも言えるのです。
しかしながら簡単な作業が重要ではない仕事とは限りません。
作業としては難易度が高くなくても重要な仕事は決して少なくないのです。
従って簡単な作業でケアレスミスを犯すことによって重大な事故につながってしまったり、とても重要な仕事に支障をきたすことになったりすればその責任は重大なのです。
ギアの入れ間違えによって起きてしまった事故やスケジュールの勘違いによって納期遅れとなってしまった責任は決して軽くはないということです。
ケアレスミスを防ぐフールプルーフ機構
スキルレスミスを防ぐ方法は、経験を積んでスキルアップを図ることに他なりませんが、ケアレスミスはスキルアップでは防止出来ません。
元々それほどの経験やスキルを要さない簡単な作業であるにも関わらず犯してしまうのがケアレスミスであり、注意力や集中力、そしてやる気というメンタル的なことがその原因だからです。
従って所謂「気を付けること」が最大の防止策ではあるのですが、それを100%行うことが出来ないのが人間であるとの考えに立って考案されてきたのが、機械や装置に組み込まれた『フールプルーフ(foolproof)』と呼ばれる機構です。
これを直訳すると『バカ防止』となるのでしょうから言葉は良くないのですが、ようするに誰がやってもミスを犯さないようにする機構です。
実は、その言葉を意識したことがない人でも既にこのフールプルーフによって救われているケースは少なくないのです。
例えば、オートマチックの自動車でブレーキを踏んでいないとPレンジからはギアが動かせないようにしてあるとか、カメラなどの充電池が逆向きでは入らないようにしてあることなどです。
自分でも出来るフールプルーフ
ギアの入れ間違えによる事故は、自動車の装置として組み込まれたフールプルーフ機構によって防ぐことが出来ますが、スケジュールの勘違いによる納期遅れなどの防止には自分で考案するフールプルーフが必要になります。
そしてそれは多額の費用や難しい技術が必要な訳ではありません。必要なのはアイデアだけです。
そのアイデアとは「○○をしない限り△△が出来ない」ようにする工夫です。
その一つとして、スマホやPCの初期画面を重要なスケジュールやメッセージが分かる写真にしておくことで、毎日その画面を見ない限り次の画面には移れないようにしている人がいるようです。
勿論この場合、そのスケジュールが済んだ後は別の重要なスケジュール情報の画面に変えているとのことです。
それでもケアレスミスは起きる
この「○○をしない限り△△が出来ない」というフールプルーフの機構が組み込まれている機械の操作とは違って、残念ながら自分で考えるフールプルーフは完ぺきな『バカ防止』とは言えないかも知れません。
せっかく自分なりのフールプルーフを仕掛けたスマホを家に忘れて出社してしまうこともあり得るからです。
このように、如何に工夫して「気を付けること」を徹底したつもりでもやはり人間のやることですので、ケアレスミスは起きうるのです。そこで最も大事なことは、そのミスを繰り返さないことです。
そしてその為には何故そのミスが発生してしまったのかを十分考え、少なくともそのミスの原因となったことには別のフールプルーフを考えてみることです。ケアレスミスを防ぐこととは、このフールプルーフを考え続けることなのです。