取引先と商談をする際、どうしてもお互い譲れない部分が出てきてしまい、交渉が行き詰ってしまうことがあります。
交渉や商談をうまくいかせるために、常に意識しておきたいテクニックというものがあります。そのテクニックを使えば相手に自然な流れで譲歩させることも可能です。
今日はそんな交渉テクニックを3つ紹介します。
1.最も重要なのは普段からの信頼度
ビジネスを行う上で最も重要なこと、それは「お互いの信頼関係」です。
取引先との関係は商品を「売る立場」と「買う立場」であり、そもそもお互いの考え方は全く違います。
「売る方」は1円でも高く売りたいと思う、「買う方」は1円でも安く買いたいと思うのは当然です。
どのような結果になっても「売って良かった」「買って良かった」と思わせる為には、相手に充分に理解をして貰う必要があるのです。
こちらの立場や相手に提示できるメリットの説明をしっかりと聞いて貰うには、相手との信頼関係が大切です。「この人の言う事なら聞いてみようか」という気持ちになれば、説明がスムーズに耳に入ってきて、理解して貰いやすくなるからです。
その結果、「この条件でも悪くはないだろう」と譲歩して貰える可能性も高くなるでしょう。
ただし、相手に信頼して貰うには、昨日や今日始めた努力ではどうしようもありません。信頼関係の構築には長い時間がかかるものです。
取引先の担当になった時から、以下のことを心掛けましょう。
・見た目や振る舞い
人は初対面の相手に対して、わずか5秒で第一印象を決定付けます。
第一印象には「好き・嫌い」「合う・合わない」「仕事ができそう・できなさそう」などがあり、「信頼できる・信頼できない」というイメージも含まれます。
一般的に、警察官や軍隊の制服に関しては「厳格」、医者の白衣に対しては「知的」という印象を持つと言われています。
つまり、見た目や振る舞いで「信頼できる・できない」をイメージ付けることが可能ということです。
初対面の時から、交渉における準備が始まっていると思いましょう。
・相手への敬意を持つ
話し合いをする時に、常に自分でリードを取りどんどん話を進めていく人と、相手の返事を待ち納得できなければ何度でも説明する人と、どちらが自分を大切にしてくれているイメージがするでしょうか?
相手に敬意を持っていれば、常に自分を有利な立場にしておこうとは思わないはずです。
「あなたの考えや利益も尊重しますので、話を聞かせて下さい」と、聞く姿勢で相手と話し合うことが大切です。
2.相手に選択肢を用意しておく
交渉ではこちらが提案した通りに100%なるとは限りません。
ビジネスですので相手も「それは受け入れたくない」という部分もあるでしょう。
相手に譲歩させるには、相手が「NO」ということを想定して、選択肢を用意しておく必要があります。
結論を急がず、一つずつ話を進めながら、相手がどんな出方をするのか探っていきましょう。
・3つ先を読める様にする
将棋の戦術で「三手読み」というのがあります。
「こちらが先に打つ」「相手が反応して打ち返す」「それに対して自分が打つ」という、三手先まで考えておくのです。
簡単に言えば「ああいえばこう言おう」「これが嫌ならあれを提案しよう」など、想定できる範囲で対策や代替案などを考えておくということです。
・シミュレーションをすること
相手に代替案や選択肢を提供したら、必ずシミュレーションを行いましょう。
「少しずつ会話を誘導されていき気が付いたら不利な内容になっていた」となると、相手からの信頼を失ってしまいかねません。
決して言葉巧みに相手をだまそうとせず「その場合は」と先のシミュレーションをして、相手が明確なビジョンを持てるようにしましょう。
3.なるべくホームに近い環境で交渉する
交渉する場所は、なるべく自分のオフィスなど気持ちがリラックスできる場所が理想です。
しかし相手から難色を示される場合ももちろんあります。
そんな時は、接待の形で飲食店を使うのもスムーズに交渉を進める方法の1つです。
少しでも心に余裕を持つために、どこのお店か決まったら下見をして料理の内容や雰囲気を体感しておきましょう。そして交渉当日は、もちろん相手よりも早く到着しておき出迎えるようにします。
そうすれば少しでもホームに近い環境を作ることができるので、相手に対して滑らかに条件を示せるようになり、説得力にも冴えが出てくるようになります。
相手に対してきめ細かい気配りまでできれば、相手も譲歩しても良いだろうという気持ちになるでしょう。
さいごに
営業トークには様々なテクニックがありますが、小手先のテクニックでは相手が中々乗ってくれない場合もあります。
そのような時に役立つのは、やはり相手からの好感度と信頼、そしてこちらが相手を敬い思いやる気持ちと言えます。
相手の譲歩を引き出す為に、これらの「バックグラウンド」をきちんと作っておくようにしましょう。