クリティカルシンキングは客観的思考法と訳され、数ある思考法の中でも、今最も企業から求められているスキルの1つです。思考法というと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、ちょっとした考える習慣のクセ付けで、誰にでも身に付けることができます。
では、どのようにすれば身に付けられるのでしょうか?
クリティカルシンキングの身に付け方だけでなく、そもそもどんな思考法なのかを解説しています。「企業から求められる人財へと成長したい!」という人は是非とも身に付けておきたいスキルですよ!
目次
クリティカル・シンキングとは?
まず、よく聞く思考法に『ロジカルシンキング』があります。ロジカル=論理的、シンキング=考え・思考なので、ロジカルシンキングは論理的思考とされています。自分の主張に論理が通っているのかが重視されるので、主観的な観点を基にしています。
それとは異なり、『クリティカルシンキング』は批判的思考と訳されます。批判的に物事を考えていく方法で、「客観的にどう見ることがより妥当か」を考えていく思考法です。
そして今、このクリティカルシンキングができる人が求められているのです。
インターネットを通して情報を簡単に得ることができるようになったことで、人それぞれの「論理」が成り立ち、これまでの前提条件が変化してより複雑化した社会では、従来の論理が通用しなくなってきています。そして、そのような社会では、論理的正しさを意識すること以上に、物事を客観的にどう見ることがより妥当かを考え続ける姿勢が重要になってきます。
クリティカルシンキングができるメリットって?
では、物事を客観的に見ていくことができるようになるとどんなメリットがあるのでしょうか?
複雑化した社会で求められているということは、クリティカルシンキングをすることで、何らかのメリットがあるからでしょう。
ここで重要になるのが、「従来の論理にとらわれない」ことです。
主観的な思考は、あくまで自分自身の知識や経験を基にした既成概念を基に構築していきます。しかし、従来の論理を基にした前提や固定観念にとらわれていると、社会の変化していくスピードが早すぎて付いていくことすらできなくなってしまいます。
一方で客観的な思考は、それまでの既成概念や固定観念をも客観的にとらえることで、すべてをフラットに考えていくことができます。
そうすることで、
・それまでできなかった斬新な発想ができる
・それまで見落とされていた機会や脅威に気付く。
・相手の言いたいことや、その前提を的確に理解できる。
・会議や議論を効果的に勧め集団として、よりよい意思決定をすることができる。
・説得や交渉、部下のコーチングなどが上手くできる。
といったメリットがあるのです。
クリティカル・シンキングの3つの基本姿勢とは?
そうはいっても、物事を客観的にとらえていくことがすぐにできるようになるというわけではありません。クリティカルシンキングは思考法なので、習慣的なクセ付けをしていくことが必要です。
そこで、クリティカルシンキングを身に付けるために必要な3つの基本姿勢を紹介します。
① 目的は何かを常に意識する
「今、このことについて考える意味はあるのか」「本当の目的は違うところにあるのではないか」と、常に考える習慣をつけることが重要です。
いろいろなことを深く考えていくと、本来の目的からずれてきてしまうということはよくあります。 しかし、主観的な視点しかなければ、そのずれていることにすら気づけません。
イシューを踏まえたうえで、まず始めに「どんな項目について考えれば目的を果たすことができるのか」という「枠組みを考えておく」必要があるのです。そうすれば、思考が枠組みから外れてしまってもすぐに気づくことができます。
② 自他に思考のクセがあることを前提に考える
誰しも思考法にはクセがあります。それは、しっかりと論理的に展開しなければ納得しない人もいれば、さまざまな事例をもとにすることで、物事の判断をしやすくなる人もいるというように、相手によって思考法もそれぞれです。
このことを踏まえて、「演繹法」「帰納法」の論理展開の組み合わせで正しく論理を展開していくと、理屈もきちんと説明され、主張にも説得力が出てきます。
■演繹法…一般的、普遍的な前提から結論を得る論理展開の方法
■帰納法…ロジックが破綻していようが、様々な事例を挙げて、そこから結論をいう論理展開の方法
③ 問い続ける
「So What?」…本質をひねりだす
「Why?」 …原因の発見や前提の確認
「True?」 …誤解がないかの確認
これら3つの質問を使って物事をいったん細部まで分解することで、その構造を把握し、背後の関係まで含めた全体像をとらえなおすというスキルも必要です。
というのも、ただ客観的にとらえているだけでは意味がありません。客観的な視点から思考を巡らせるからこそのクリティカルシンキングであり、現代社会において求められている効果的な思考法なのです。
そして、ここで役に立つのがロジカルシンキングです。
クリティカルシンキングをする際に求められることは、自分自身が物事を発信する際も受け手となる際も共通していて、「イシューに対しての主張は具体的か」を深堀して考えることです。
つまり、
・質問の意味を正しく捉え、何について考慮・判断すれば「正か?否か?」を言えるのか?
・「何故そう言えるのか」の具体的な根拠や適切な例を挙げた説明はあるか?
を、客観的な視点から答えられなくてはいけません。
そしてさらに、良い面ばかりでなくリスクや脅威になる部分などのマイナス面も考慮して、反論がある場合にもしっかりと対応できるように備えておくことも大切です。
これらは客観的な視点から論理的に思考を巡らせることで、導き出していくことができます。
「クリティカルシンキングがうまく使えない!」と感じたときの対処法は?
クリティカルシンキングは思考法の1つなので、いきなりできるようになるわけではありません。そこでおススメの方法は、既存のフレームワークをまず当てはめてみることです。複数の事象を繋げたりして共通の要素を見つけるクセ作りを心掛けると、固定観念の外側の事象を考えやすくなります。
「既存のフレームワークがしっくりこなかったら、新しく生み出してしまえ!」くらいの気持ちで取り組んでみるのがいいかもしれません。
そうすればきっと、自然とクリティカルシンキングもできるようになっているでしょう。