「話し上手は聞き上手」
誰でも一度は聞いたことのある言葉だと思いますが、
話すことはもちろんのこと、聞くこともコミュニケーションの原則です。
あなたの職場や友人でもコミュニケーション能力が高い人を思い出してもらうと、きっと話しやすいと感じるひとではないでしょうか。
知らず知らずのうちに自分の本音をどんどんしゃべってしまっていた、なんて経験もあるかもしれません。
それは実は多くの場合、相手の聞くスキルが高いのです。
ところでひとえに「きく」という行動ですが、実は3つの「きく」が存在します。
3つの「きく」とは?
「きく」時の状態は次の3つのパターンに分けられます。
1.耳で聞いている
カフェやレストランなどで食事をする時に店内でBGMが掛かってたりしますが、「誰の曲か」とかいちいち考えていない場合ってないでしょうか?
ほかにも例えば帰宅して、何の番組が見たいといった意思を持たずテレビの電源を入れて作業しながら聞くようなこともあるのではないでしょうか。
このようなBGMとして聞こえている状態は「耳で聞いている」状態といえます。
2.頭で聞いている
悩み相談の時などに、ついつい話の途中で腰を折って気が付いたら追い詰めてしまっていた…なんて経験ないでしょうか。あるいは逆のパターンで相談したら厳しく詰問されてしまった…といった経験。
これは話を聞いている段階で、過去の自分の体験と照らし合わせながら答えを言うようなパターンです。
つまり自分の考えを持った状態で聞いていて、半分は答えを押し付けている場合が多い状態が「頭で聞いている」状態です。
3.心で聴いている
相手の立場になって親身に耳を傾け、話を聞くことを「傾聴」と言います。
傾聴の「聴」という文字は「耳に十四の心」で構成されていますし、「耳、目、心」という身体を表す文字で構成されています。
14の心とは受容する心、共感する心、好意的な心、興味を示す心、肯定する心、優しい心、理解する心、ゆったりした心、誠実な心、先入観のない心、明るい心、公平な心、信頼の心、感謝の心を指します。
十四の心で聴き、相手と同じ風景を見つめる。つまり相手の眼となり耳となり心になって初めて傾聴していると言えるのです。
ビジネスではコミュニケーション能力の高い人ほど成功しやすいと言われますが、この傾聴スキルを身に付ければ相手の本音もどんどん引き出す事に成功するでしょう。
次に実際に相手が本音をどんどん話したくなる「話の聞き方」のポイントを紹介していきます。
批判せずに聞く
親身になって情報を教えてくれたり、アドバイスをくれたりした人に対して、「それはおかしい」と思うことがあっても批判せずに一旦受け止めましょう。もしかしたらこれまであなたが口を挟んで批判しているようであれば、最後まで聞いていたなら結果的には本当に役立つ情報だった可能性もあります。
はじめから批判心や懐疑心を持った心で聞くとどんなに適切な話しであっても腹落ちしないものです。
評論せずに聞く
立派なことは言うけれど全く行動に移せないようなタイプの人のことを皮肉を込めて評論家タイプと言ったりしますよね。
もしかしたらあなたの職場の上司や先輩にも??
それはさておき相手の話を聞くときに、評論家にようにダメ出しや批評を続けていると、次第に信頼は失われていきますので絶対にやめましょう。さらに恐ろしいことに評論ばかりしていると何となく自分は偉いと勘違いするものの行動には移さないため、評論以外何もしなくなっていきます。
何もしない=成長しない、つまるところあなたの人生そのものをダメにしてしまう習慣なのです。
アイコンタクトをとる
聞き方のポイントなのにアイコンタクト?と思われたあなた、実はアイコンタクト有無で相手に与える印象は大きく変わるのです。
アイコンタクトが全くないと冷たい印象を与えますし、またアイコンタクトをすることは大事だよね、と理解していても実際にどのくらいのアイコンタクトが効果的なのかまでは知らなかったりします。
アイコンタクトを行う上で適切な秒数は「3秒」程度が適切です。
また、もしアイコンタクトが恥ずかしいという場合は眉間や鼻を見るようにしても大丈夫です。
少しだけ前のめりになる
傾聴の「傾」は前のめりになって話を聞くことを意識しなさいという意味かもしれません。
自分の話を前のめりで聞いてくれたら、「真剣に聞いてくれている」「興味を持って聞いてくれている」と感じるに違いありません。
コーチングのプロも聞くときには前のめりの姿勢で聞くことを推奨しています。
うなづく
うなづきは簡単に出来てなおかつ効果抜群な方法です。
うなづきは「自分の話に共感してもらっている」と安心感を与えます。
そのためどんどん心を開き距離も縮まり本音を語ってくれるようになるのです。
相手の話をどんどん引き出したいときには小さく細かいうなづきを、そして話に共感したときには大きくうなづくとより相手に与える印象は良いものになるでしょう。
最後に
相手が本音をどんどん話したくなる「話の聞き方」のポイントを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
今まで自分は傾聴していたという自負があった方でもここまで出来ていた人は意外に少ないと思います。
特にビジネスである程度経験を積んでこられた方であれば、ご自身の経験から「自分の場合にあてはめて考え回答する」癖が出来上がっていると思います。
もし現在、上司・部下・先輩・同僚・取引先・新規のお客様などなど、日々コミュニケーションを取る中でうまくいっていないことがあるならば、そのイケてない結果が出ているのは自分自身が引き寄せていると認識してください。
例えば今回紹介した「アイコンタクトを取る事は大事なのは分かるけど恥ずかしいから私には出来ない」など、分かってはいるんだけど、そういうの苦手なんだよね~というあなたの感情はどうでも良いのです。大事なのは相手がどう受け止めるか、どう感じるか、その効果です。
聞くスキルを高めるためにはある種そのようなエゴを捨てて実践する勇気も必要なのです。