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【基礎編】ウィン・ウィン交渉を成功させるための「交渉術」

一部の経済・経営系の大学を除いて、学校でほとんど教わることのできないビジネス・スキルに「交渉術」があります。交渉とは、話術や説得術と思われているかもしれません。

しかし、実際にはもっとロジカルな基礎理論がベースにあるもので、高度な技術を持った同士の交渉となると、話術や説得術などはたいした問題ではなくなります。また、交渉力はビジネスにおいて最も重要な能力のひとつです。今回は、交渉術の基礎をまとめてみたいと思います。

交渉にはモデルがある

Shake hands

交渉というものには、常に相手が存在していますぼで、ひとりや一社では出来ません。そして、交渉するあなたやあなたの会社がメリットを出したいと考える事と同様に、相手も交渉によってメリットのある取引にしたいと思っています。つまり双方ともに「得をしたい」「利益を得たい」と考え、「損をしたくない」とも考えるのです。

このような時に両者のメリットはどのような形となるでしょうか。実際にはもっと多いのですが、ここでは問題を単純化するため、ふたつの取引パターンだけを提示しておきます。ひとつはゼロ・サム交渉、もうひとつはウィン・ウィン交渉です。

ゼロ・サム交渉

ゼロ・サム交渉というのは、一定の取り分を双方が奪い合う形の交渉となる事です。例えば、宝の山を二人が山分けする時の交渉などがこれに当たります。このとき、均等に配分せずにどちらか一方が得をする(損をする)ように配分しようとした場合、交渉が成立しない可能性もあります。

ウィン・ウィン交渉

ウィン・ウィン交渉というのは、両者が勝者となる交渉の事です。例えば、あなたが食べ物を欲しくて、相手は着るものを欲しいときなどは、ゼロサム交渉にせずに済むかもしれません。双方の条件が折り合えばウィン・ウィン交渉にすることが出来ます。

ウィン・ウィン交渉モデルへの入り口「プラス・サム交渉」

では、ゼロ・サム交渉のようなモデルの交渉となった場合、交渉が不成立となってしまう可能性を下げることはできないのでしょうか?実際にはそんな事はありません。そして、ゼロ・サム交渉のように思われる交渉をウィン・ウィン交渉にしていく技術こそ、交渉力です。

そのための交渉の技術にも様々なものがありますが、もっとも一般的なものはプラス・サム交渉という方法です。
もし、相手が欲している条件や他のものを加えることで、双方ともにメリットが出る形に持ってくことが出来れば、ゼロ・サム交渉からウィン・ウィン交渉にすることが出来ます。

プラス・サム交渉

例えば、あなたがAという商品を100円で売りたいとします。しかし相手はその商品を50円で買いたいとします。この状態ではゼロ・サム交渉で、どちらかが相手に譲るという事をしないと、交渉は成立しません。間を取って75円という方法で決着する場合は、公平ではありますが、それはゼロ・サム交渉です。もしそれではあなたは利益が出ず、相手は材料費がかかりすぎた場合、この交渉を成立させても、どちらも得をしません。

このような時に、プラスして他の条件を出す方法を、プラス・サム交渉と言います。例えば、年間で買い取ってもらう商品の数を増やしたり、Aという商品にBという商品も加えたパッケージとして販売するなど、そういった付帯条件を付け加える交渉術です。

交渉を優位に運ぶポイントは制約条件を理解すること

Customer care and support (help) and life insurance concept. Businessman representing company helps (support) customer (client) to overcome an obstacle. Problem solving with smart and simple solutions.

ではプラス・サム交渉を行っていく上で、どのような条件を提示すれば、より有利なプラス・サム交渉を出来るでしょうか?交渉の基礎においては、双方がウィン(勝者)となるモデルを作り上げる事です。そして、その鍵は双方の制約条件にかかっています。

もし取引相手が、どうしても1週間以内にAという商品を手に入れる必要がある場合、これは相手の制約条件になります。そしてその事をあなたが知っていた場合、あなたは取引を優位に運ぶことが出来るでしょう。
しかし、あなたが相手の制約条件を知らない場合は、当然、その条件を利用して取引を優位に運ぶ事は出来なくなります。つまり交渉は、相手の制約条件を知ることと同時に、自分の制約条件を隠すことが出来ているほど、有利に運びやすくなります。

ウィン・ウィン交渉を作り上げる

Win-win partnership strategy concept. Businessman draw win-win scheme with handshake partnership agreement.

このように、交渉過程で双方がウィン・ウィンとなる取引モデルを作り上げ、その中で相手と自分の制約条件を軸に、駆け引きをしながらより有利な落としどころを作りあげるのが、交渉術の基礎です。
もちろん、話術や説得術も有力な交渉術ですが、この基礎が理解できていないと、交渉の原理を理解できている会社相手や交渉人相手には、こちらの利益は目いっぱい減らされた条件を呑まされてしまうかもしれません。

交渉の基礎をおさえていろいろな商談などを経験していけば、きっと素晴らしいビジネスパーソンになることも出来るでしょう。

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