書店にいくとコミュニケーションや話し方に関するコーナーが設けられるほど、たくさんの本が販売されています。
それだけコミュニケーションに対して困っている方が多い事の証左だと思います。
パトリック・ハーランさんが「コミュニケーションの基本は、お互いに”わかり合っている”という意識」であると語っていました。
「伝えた」はずなのに相手に伝わっておらず悩んでいる方向けにどうすれば「伝わる」コミュニケーションになるのかエッセンスを紹介したいと思います。
信頼関係は築けているか
もし営業やプレゼンテーションに臨むことがあれば、いきなり本題に入り営業トークを展開するでしょうか?
相手から希望された場合であれば話もスムーズに進むと思いますが、こちらから時間を割いていただいたようなケースではスムーズに行かない可能性があります。
私は営業前によくアイスブレークを行います。
どうしても商談の一番はじめの段階では双方緊張状態にあります。
そこで緊張状態をほぐすような話題を提供しコミュニケーションを取りやすい雰囲気を作ることが重要です。
アイスブレークはひとつの手法ですが、信頼関係が築けていないケースではコミュニケーションがとりずらいため、まずは信頼関係を築くことから考えてみましょう。
他にも何もしなくても信頼関係が築ける方法はあります。
それはあなたが何かしらのスペシャリストとして広く認知されている状態です。
例えばオリンピックに出場しメダルを獲得した選手に対しては誰もがその競技のスペシャリストとして認識しますよね。
残念ながら決勝で敗れてしまいましたが吉田沙保里選手は間違いなくレスリングの女王として認知されていますし、サッカー界のレジェンドと言えば”カズ”こと三浦知良選手が思い起こされると思います。
スペシャリストとは付加価値の高い人材ですので、その分野でのコミュニケーションにおいては信頼関係を築く必要もなく話もすんなり受け入れられるでしょう。
自分目線の発信になっていないか
あなたにとって苦手な上司と言えばどのような上司が思い浮かびますか?
おそらく常に機嫌が悪く、評価軸がブレていてその時の気分で評価がコロコロ変わり、部下の気持ちに鈍感で強権的にノルマを押し付ける。そして目標が達成できない場合は反論の余地なく詰められる。このような上司を好きな人は極めて稀でしょう。
コミュニケーションを取る場合、実は知らず知らずのうちに似たような発信をしている可能性があります。
人は人の気持ちに共感できない人の話を聞こうと思わないものです。発信がどれほどメリットのある内容でも自分目線での発信が強ければ受け入れられないことが多いものなのです。
何か話を持ちかける時には一方的な発信にならないように、まずは「なぜこの話をするのか」という部分まで掘り下げた上で話を持ちかけた目的まで話す必要があるでしょう。
部下が辞めていく理由をきちんと把握出来ていますか?
あなたが人を管理する立場であれば部下が退職する相談の一つや二つもあることでしょう。
「親が病気で介護のために実家に戻ります」「会社の方針に納得ができません」「キャリアアップをしたいです」理由はさまざまです。
これらの理由は表向きの理由である場合が多いものです。今の仕事が楽しければ愚痴はあっても転職の話までは出てきません。
上司のあなたの話に共感出来ない、自分ばかりに嫌いな仕事を押し付けられている、人としては嫌いじゃないけどずっとやっていこうと思ったら気が滅入る・・・
本音を部下はなかなか言ってくれないものです。上司として部下に伝えたい情報があった場合に一方的な伝え方だけで終わっていないでしょうか?伝えた時に部下から気になることなどヒアリングして懸念を払拭させることは出来ているのでしょうか。
部下の言動を観察し感情にも配慮する必要があります。共感力のない上司に現代の部下はついていきません。
IQよりもEQを磨こう
EQとはEmotional Intelligence Quotientの略で、ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏によって発掘された理論です。
IQが頭脳の知能指数に対し、EQは心の知能指数と言われています。
面白いことにビジネス社会ではIQがいくら高くても成功しない人は多いのですが、それは何故かというと対人能力に欠点があることが多いためです。
逆にビジネス社会では対人能力に優れている人ほど成功しやすいということが言われているのです。
「EQ こころの知能指数」は1996年と20年前に刊行された本ですが、中身は時代が変わっても色あせることなく、ビジネスマンであれば必須の書籍でしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
営業活動を行ったことがある人であれば胸に手を当ててみて考えてみれば思いあたることも多かったのではないでしょうか。
営業のトークスキルを磨くことも重要ですがそれ以前に相手に聞く気がなければ切れ味鋭いトークは何も意味を持ちません。
相手の気持ちや感情を汲み取る能力を磨くこと。観察力を磨き何を求めているのかを考えながらコミュニケーションを取ることを意識してみましょう。