会社の経営は「経営者が行うものだ」と誰しも考えます。もちろん、重要な方針や方向付けは重役会等で経営層が決めると言う意味では経営者が行うものです。
しかし、こうした経営の方針や考え方は、経営層から管理職層に伝達され、全社の経営目標数値を達成するために各部門、各課、各係や担当者に至るまで、目標値がブレークダウンして与えられ、それを達成する事が求められるのです。
与えられた自分の目標を達成すると同時に、なぜそうした目標が与えられているのかを、会社の経営方針等と関連付けて考える習慣を若い時から付ける事がお勧めです。
経営者にならなくても、係長や課長として部下を持つ時には、こうして習慣付けた経営感覚が非常に役立ちます。
中期経営計画や事業計画で会社の経営方針を把握する
自分の会社の経営方針など、下っ端の自分は知る由もないと思われるかも知れませんが、意識すれば簡単に入手し、熟読吟味する事が可能です。
どこの会社でも社内報等が発行されており、年初や年度初めに社長が、本年の方針として、社員に呼び掛けているはずです。こうした方針を、自分の部署や自分の仕事にどう関連するのかを考えながら熟読する事がお勧めです。
また、自分の会社が株式を上場しているなら、HP等で必ずIR情報(投資家向け情報)が公開されており、そこで昨年度の決算と本年の方針や、3年から5年の中期計画が提示されているはずです。
こうした情報で、全社がどこに向かおうとしているのかを知る事が出来ます。
経営状況は、全社と共にセグメント別でも表現されている場合が多く、自分の所属する組織により近く、少なくとも実感できる範囲での経営状況を知る事も可能でしょう。
熟読しても、その立場によって理解できない事も多いでしょう。それでも読み続け、自分なりに把握して自分の行動の参考にするのは、将来的にも有用なのです。
全社の経営は各セグメントや各部署の積み上げ
どんなに巨大な企業であっても、その販売金額は各セグメントや事業部の販売の積算であり、さらに事業部の販売は、その会社の販売体制の最小単位の積み上げです。
その販売を達成するための人・もの・金の資源も同様に最小単位の積み上げで全社の数値が決まるのです。
従って、あなたの属する組織部門の目標値は全社の販売を達成するための目標値と連動しており、その活動費も連動しているのです。
自分達の属する最小単が目標の90%で未達であっても、全社の経営数値には何の関係もないと考えがちですが、それぞれがそうした感覚で90%しか達成できなければ、全社でも90%しか目標を達成できないと言う結果になっているのです。
全社を自分の組織や自分が背負っている訳ではありませんが、全社の経営数値に間違いなく関連しているのです。従って、経営全体の方向性を理解し、経営目標数値を理解し、その上で仕事に取り組む事でモチベーションも上がり、上司の話す事も理解し易くなる事が多いのです。
こうした点から、若い頃から経営方針や経営目標を意識する事は極めて重要で、自分の成長にも役立つのです。
課長職になれば単なる管理ではなく部門経営者
重役にまで出世する人は少なく、またそれを目標とする人は少ないかも知れません。
しかし、多くの人は課長になれればと思っているのが一般的です。
課長は自分の上司を見て、部下の管理をするだけの存在だと思っているかも知れませんが、本当に求められているのは、部下の管理のみではなく、部下育成であり部門経営なのです。
先に記載した様に、全社の目標が、各課に割り付けられ、それを積み上げる事で全社の数値目標が達成できるのです。
従って、課長はその経営組織の最小単位を任された部門経営者なのです。計画に織り込まれた人件費や経費等の予算内で計画の数値目標を達成する使命を持った経営者なのです。
この達成のために、日々の管理業務も必要ですし、中期的に組織の成長を図るために部下の能力育成も重要なのです。日々の管理は、部門経営を行う為の手段に過ぎないのです。
課長は上記の様に部門経営のトップであり、係長はそれを分割して担う部門重役と言えるのです。こうした事を考えると、部下を持たない若い頃から経営意識や経営感覚を磨く事が係長や課長としての真の役割を達成する訓練として重要な事が理解できるでしょう。
どんな部門であろうが若くから経営感覚を持つ事が重要
自分が会社のどのような職種であろうと、若い頃から経営感覚を養う事が重要です。
全社の経営方針や数値目標が自分の所属する組織目標や自分の仕事と連動している事をしっかりと知る事で、モチベーションの一助となると共に、若い頃からこうした感覚を磨く事でバランス感覚も養われます。
こうした習慣を付ける事で、やがて係長や課長として部門経営者やそれを分割して担う立場になった時、単に指示し、管理するだけの人だと言う課長や係長ではなく、真に求められる役割を担えるようになるのです。