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【デザイン的思考】壁にぶつかっている人の傾向と取るべき行動

ここ最近、オンライン記事やセミナーまた書籍などで “デザイン思考” という言葉が話題になっている。“これからのビジネスでイノベーションを生み出すにはデザイン思考が重要だ” といったフレーズもよく聞くが、実際その具体的な内容を説明しているケースはあまりないように思う。まず「デザイン的思考って何?」というところから説明します。

「デザイン」と聞くと、何か形を作ったり色を塗ったりして「格好良くする=スタイリッシュにする」というイメージを持たれている方が多いと思います。間違ってはいませんが、そこをもっと深掘りするとデザインとは「新しいものを創り出す」「課題を解決する」ために必要なプロセスであり、そのプロセスを総じて「デザインする」と言います。10年間ニューヨークでグラフィックデザイナーとして働いていた経験から、まずはロゴデザインのプロセスから簡単に紹介し、そのどこが「デザイン的思考」であって、デザイナー以外のビジネスでもこの「デザイン的思考」が重要とされるのかを私なりにできるだけ分かりやすく説明していきます。

世の中数え切れないほどのロゴがありますが、ロゴを作成するにあたって、
logosample10

ステップ1:まずは解決しなければならない課題は何か?を明確にする(ヒアリング)

・とにもかくにもまずクライアントの要望・課題を解決することが目的

主な項目としては
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ロゴで表現したいキーワード
例:「地域との絆」「成長」「先進性」

ロゴに期待すること
「親しみやすさ」「安心感がある」
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こういったキーワードをもとに、IBMのようなコーポレート感のあるロゴにするのか、アメーバのような親しみやすいロゴにするのかの方向性を決めます。ロゴの目的引用元:http://www.lancers.jp/

ステップ2:アイデアを色々と出していく(ブレインストーミング)

・思いつく限りのアイデアをすべてスケッチやノートに洗い出す。

先進性を表現するのであれば「八、?、↑」などをベースに何かと組み合わせるなど。アイデアの出し方は人それぞれ。色々な記事や参考になるような資料から全く関係ないような資料まで目を通して、通勤や週末の散歩の途中の木や花、雲の形などからインスピレーションをもらってすべての可能性を排除せずに書き込む。ビジネスマンでもノートを活用している人は多いのではないだろうか?

ステップ3:方向性やアプローチの違う案をいくつかに絞る(グルーピング)

・例えば30個のアイデアがあるとする。それらを方向性の近いものは1つのカテゴリーとしてまとめて、それをいくつかに絞っていく。

仮に「会社名がGから始まる」のであれば、
①「G」をモチーフとしたもの 
②「G」は使わずに表現したいキーワードを前面に出したもの 
③ロゴマークではなく、会社名のテキストをアレンジして表現したもの

などのカテゴリー分けをする。ただランダムにアイデアを見せるのではなく、グルーピングすることでクライアントへの提案の際に「A案は○○、B案は△△、C案は××」と方向性を分けて説明できるので、相手により伝わりやすくなる。

ステップ4:方向性が決まれば最後のブラッシュアップ

・クライアントの意向を聞き方向性が決まれば、あとは最後の調整。文字間隔の調整から全体のバランスまで、何度も調整→印刷→調整また印刷して最終のロゴを仕上げる。

こまかくはもっとたくさんのプロセスがあるのだが、今回の主目的である「デザイン的思考」を説明するうえではあまり関係ないので割愛させていただきます。ではここからは、主題である「デザイン的思考」について説明していきます。

「壁にぶつかっている人の傾向ーデザイナー編」

・「自分の好きなものをつくる=自分がやりたいようにやる」

自分の好きなものをつくる事自体は全く悪いことではない。むしろモチベーションも高く保てるのでどんどんやるべきである。ただこういった場合得てして自分の良いと思ったものに固執しすぎて、クライアントが求めるものとの乖離があることに気づかない。指摘されても妥協できない、歩み寄れない。以前の私ですね。(笑)

・「何のため、誰のためのデザインなのか」の意識が薄いため、まったく方向性の違うものを作ってしまっている

・目の前のものに集中しすぎて、全体のバランスや目的を見る事を忘れてしまう→視野が狭い

・引き算ができない→あれもこれもと手を出して結局どれも中途半端でおわってしまう

・「なんとなく」でデザインしている=何も考えていない・具体的施策がなく動いている
⇒「なぜこうしたのか?」と理由を聞かれて「うーん。。。」と答えに困ってしまう。

・着地点が見いだせず、無駄な試行錯誤をくり返してしまう

・途中段階でデザイン案を見てもらうことが恥ずかしい、自分で終わらせなければならないと思い込んでいる

余談だが、よくある言い訳として、(新人だけではないのが悲しいが。。。)

「時間がたりない...」
「人によっていうことが違う...」
「環境が整っていれば...」

「壁にぶつかっている人がとるべき行動」

・ではいよいよ本題。どうすれば良いのか?

①「なぜ?を繰り返し深掘りする」

私はデザイナーとして働き始めてからずっと、課題解決に取りかかるとき、常に「What if(ワットイフ)...? - もし○○が~~だったら?」を繰り返し続けるようにしている。私はデザイン学校時代、作品制作のためにインスピレーションを探して道をあるいていたら車のピストンが道端に落ちているのを見つけました。私はそのとき、「もしこのピストンが灰皿だったら。。」というところから、ピストンにロゴを焼き付けて灰皿として作品にした。課題があれば、何度も何度も問いかけて深掘りしていき色々な可能性を排除しないということはとても大事なことであり、習慣づけるようにするといいかもしれない。

②「人の話をちゃんと聞く」

当たり前のことのように聞こえるが、これが驚くほど当たり前にできている人が少ない!よくある傾向として、人の話をさえぎって自分の意見を言う。また人の意見・指摘に対して「いや、でも、ですが、そうじゃなくて」が多い。

③「分からないことは必ず‘その場‘で質問する」

「恥ずかしい、会議を止めてまでは、たいした質問じゃない」色々と理由はあると思うが、その場で質問せずに何となく分からないことがあるまま作業を進めて、後になって「今更聞けない。。。」とあたふたするのはNG。分からないことについては随時質問・確認作業をおこない、確認しなかったばかりに、後々大きな軌道修正や周りに迷惑をかけることがないようにしよう。その場が終息できたとしても、その人の後々の評価にも影響して自分に跳ね返ってくることは覚えておこう。

④「最終着地をしっかりと確認・理解し、自分でも考える」

通常KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)が設定され、それを達成するためにどう行動するべきなのかを決めていく。その際、マネジメントする側は把握しているものの、得てして個々が高い意識をもって、「何をしなければいけないか?」具体的なイメージやアイデアを持って作業に臨んでいるというケースは私が知る限りではあるが稀な気がする。指摘されたことをただ「こなす」のではなく、自分なりに理解し展開させられる人であれば、先々重要な仕事も優先して任せられるでしょう。

以上、デザイナーとしての経験をもとに学んだこと、また最近オンラインやセミナー、書籍などで “デザイン思考” という言葉が話題になっている中、何が「デザイン的思考」なのかを私なりにご紹介させてもらいました。当たり前のことが当たり前にできて、尚且つ自分でしっかりと考えて発展させられる人が「デザイン的思考」で動ける人、言い方を変えると「今時代に求められている人」であるといえるかも知れません。

里山を創生する「デザイン的思考」blank

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