「大企業」「中小企業」「零細企業」、よく聞く言葉ではありますが、その判断基準っていったい何だろうと思ったことはありませんか?
今回はそれぞれの基準をくわしくご紹介しようと思います。
大企業の基準
大企業と聞くとよくCMや広告で目にする有名企業を思い浮かべる方や、一部上場企業を想像される方が多いのではないでしょうか。
それはほぼ正解ではあるのですが、実は大企業とは法律で基準が設定されているというものではないのです。
ちょっと驚きですよね。
中小企業基準法という中小企業の基準があり、それに当てはまらない更に大きな規模の企業を一般的には「大企業」と呼びます。
では大企業と判断する為の基準となる中小企業の判断基準を見てみましょう。
中小企業の基準
中小企業と認められる条件は業種によって異なります。
分類は4つです。「①卸売業」「②小売業」「③サービス業」「④製造業、建築業、運輸業、その他」
そして、それぞれ「資本金か出資総額が〇円以下」「従業員の人数が〇人以下」という条件が設定されており、どちらか一方を満たしていれば中小企業と認められます。
◆業種分類4つ
①卸売業とは
生産者やメーカーから仕入れた商品を更に他のスーパーなどの小売業者に販売したり、業務用商品を仕入れてレストラン等に販売したりする事業のことです。
② 小売業とは
最終的に消費者に販売する事業のことです。よくお世話になるコンビニやスーパー等が当てはまりますね。
③ サービス業とは
モノではなく、サービスという形のないものを提供する事業のことです。例えばホテルや車を修理してくれる業者がサービス業に当てはまりますね。
④製造業、建築業、運輸業、その他
・製造業とは
原材料を仕入れて加工し、製品にする事業のことです。自動車メーカーや飲料メーカー等がこちらに該当します。
・建築業とは
住宅であったり商業施設などの建設工事を請け負う事業のことです。とび職や建設に必要なコンクリートであったり水道、電気工事をしてくれる業者もこちらに該当します。
・運輸業とは
モノを輸送する事業のことです。モノを運んでくれる以外にも、それに関わる一時保管や積み下ろしを行ってくれる業者等もこちらに当てはまります。
・その他とは
卸売業、小売業、サービス業、?製造業、建築業、運輸業のどれにも当てはまらない事業を行っているところ全てです。農林や漁業、電気・ガス事業なども該当します。
◆中小企業だと判断する為の条件
「資本金か出資総額」「従業員の人数」どちらか一方を満たしていれば中小企業と認められます。
・資本金とは
会社法に基づいて会社を設立する時に用意した資金や、株式を発行した時に株主からもらった金額を法務局に申請して受理された金額のことです。
・出資総額とは
出資額の総額であり、株式会社ではない企業が事業の為に出資者から提供してもらったお金の合計です。
業種 | 資本金か出資総額 | 従業員の人数 |
①卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
② 小売業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
③ サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
④製造業、建築業、運輸業、その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
零細企業の基準
零細企業とは、中小企業の基準で上げた中でも得に小さい規模の企業のことを指しており、正しくは「小規模企業者」と言います。これもまた中小企業基本法として基準が設けられています。資本金や出資総額ではなく、従業員の人数が主な判断基準になるようです。
業種 | 従業員の人数 |
①卸売業 | 5人以下 |
② 小売業 | 5人以下 |
③ サービス業 | 5人以下 |
④製造業、建築業、運輸業、その他 | 20人以下 |
参考文献:中小企業庁(2016/07/28アクセス)
最後に
大企業は法律で基準は明確にはされていないものの、中小の定義がありますので、それを元に考えて「資本金か出資総額」「従業員の人数」を両方上回っていれば「大企業」と呼ぶことが出来ると思います。
「零細企業」という表現はあまり好ましく受け取られない可能性が高いので、使用は控えた方が良いかと思います。
どうしても表現しなければならない場合は「小規模企業」にしましょう。