会計という仕事に対してどのようなイメージがありますか?「いろいろな数字を扱い複雑な計算をしなければいけない」「書式などの規定や要件が細かいので難しそう」「とにかく正確さが求められる」、といったイメージを持たれている方も多いと思いかもしれません。
しかし実際には、会計の仕事に携わることは会社全体の状況を把握でき、また会社の中の経営層と接することが非常に多い、イメージと真逆のとてもダイナミズムのあるやりがいのある仕事でもあります。
会社でも個人でも、ビジネスにおいては欠かすことのできない会計という職種の仕事内容を見てみましょう。
企業における会計の役割とは?
まずは会計とは何なのかについてですが、会計とは会社が行った取引を認識・測定した上で記録し、一定期間の儲けである利益と一定時点の財産の状態を利害関係者に報告することです。と言っても分かりにくいので、少しずつ分解して見ていきましょう。
まず、認識・測定とは、企業が行った取引が「いつ」行われたのか、そしてその取引が「いくら」の取引だったのかを把握することです。そして、それを忘れないように記録しておきます。一定期間とは、一般的には通期(1年)や半期、四半期ごとに区切られる場合が多く、一定時点は該当する各期の期末を指します。
つまり会計とは、任意の各期間において期末時点までに記録された取引を集計して、各期の利益と期末時点での財産の状態を利害関係者に報告することと言い換えることができます。
では、この報告する相手の利害関係者とは誰のことを指しているのでしょうか、それは企業の外部の人たちと内部の人たちの大きく二つに分けられ、それぞれ「財務会計」「管理会計」と区別して報告されます。
企業の外部の人たちに報告する「財務会計」とは?
企業の外部の人たちに報告する会計は「財務会計」と呼ばれ、企業会計基準委員会等が定めた一定の基準に基づき、正確な報告書を作成することが求められます。では、なぜ一定の基準に基づいた正確な報告書の作成が求められるのでしょうか?
企業外部の株主や債権者といった利害関係者は、その報告書によって他の企業と比較し、どの企業に投資するのかを判断しているからです。なので、企業のホームページなどに掲載されているIR情報などの投資家向けの情報にも「財務会計」は含まれています。
もし各企業がそれぞれの基準で報告書を作成していたら、投資家も比較・判断のしようがないため統一された基準が設定されているのです。
企業の内部の人たちに報告する「管理会計」とは?
経営者など企業の内部の人たちに報告する会計は「管理会計」と呼ばれ、会社の経営指針などを決める際に必要な情報を報告するものです。そのため「管理会計」には定められた基準などもなく、各企業ごとに報告の内容も異なってきます。
「管理会計」に求められるものは、経営者が事業を展開していくうえで経営的な判断を下しやすくするための情報を提供することです。それは、ある企業では事業別のセグメントに分けての業績を報告することであったり、別の企業では地域ごとのセグメントに分けた業績の報告であったりします。
このように「管理会計」は企業経営を支える部分を担っていて、その情報によって企業の今後の経営方針が大きく左右されてくる部分でもあるので、非常にダイナミズムのある仕事でもあります。
企業の会計に関する知識は、身に付けておきたいビジネススキル!
会計とは、一般的なイメージの通り数値や書式などの規定に捉われてしまうという側面もありますが、会社全体の動きを貨幣価値に置き換え把握できる非常にやりがいのある、魅力的な仕事でもあります。
また会計に携わる職種ではない人でも、企業が営利を目的に経営されている以上は、細かい雑務と考えずに、最低限のことは意識して業務にあたらなければならない知識でもあります。
特に管理職や経営に携わる仕事をする場合には、会計に関する知識は最低限身に付けなければならないビジネススキルでもあるので、これを機に会計について学んでみるのも良いかもしれませんね。