ここでは社会人25年の私も実践している「少し実践するだけで」心遣いが伝わる行動をご紹介します。
物を渡すときは両手を添えて
会社では書類やファイル、ノートなどを渡したり、受け取ったりする場面が多くあります。
ドラマや日常のオフィスでも上司が部下に「この書類、作ってくれないか」なんて頼むときに、片手でバサバサとしながら部下に渡すシーンも、よく見かけるのではないでしょうか。
忙しいし、パッパッと片づけたいしと、ついつい片手で渡したり、受け取ったりしていませんか。
さっきの上司からあなたが書類を受け取るとしたら、どういう気持ちになるでしょう。
「うっとうしい」「面倒くさいときに頼んできた」なんて後ろ向きな気持ちになって、やる気が出てきませんよね。
ところがさっきの上司が、ちゃんとあなたを呼び止めて、両手を添えて書類を渡したら、どうでしょうか。
「大切なものなんだから、早く丁寧に仕上げよう」というように、少なくともさっきとは違う前向きな気持ちになるでしょう。それは書類を「片手」ではなく「両手で」渡されたからかもしれません。
そのときのあなたも、自然に両手で受け取っていれば、気持ちよく仕事ができるはずです。
書類も含め、渡すものや受け取るものがそれほど重要度が高いものでなくても、「両手を添える」だけで丁寧さや、大切なものを扱っているという気持ちに人はなるそうです。加えて、その人の誠実さや印象も高まります。
私も若いときはなかなか照れくさくてできませんでしたが、会社の中だけでもやってみてはいかがでしょうか。
電話の受話器を置くときは、フックを軽く指で押さえて
電話のかけ方・受け答えは、ビジネスマナーの研修でも挨拶に続いて時間が割かれるものです。
目に見えない相手との会話は、声のトーンや口調がすべてを決めるといっても過言ではありません。
私の若いころの職場に、女の子のように高い声のトーンで話す男子がいましたが、彼が初めて行った取引先では決まって「女の子が来るかと思って期待していた」と言われたことも多かったとか。
ところでマナー研修では、電話を掛けることを多く学び、実戦練習もしますが、実はかけ終わって受話器を置くところまでが、とても大切なのです。
「相手が切ってから受話器を置く」が基本ですが、そこにプラスしてほしいのが「受話器を置く前に、フックを軽く指で押さえてから受話器を置く」ということです。
イライラした話しの後や、忙しさゆえ、ついつい受話器をバン!と置きがち。かくいう私も、時には「カチャ!」とフックを置いた音が逆に聞こえてしまうよう押さえ方もしてしまうのですが、それは逆効果です。
電話での取り次ぎで「担当でないのでわかりません」はNG
例えば役所などに電話することがあると、今でも10回に2回くらいは「担当がいない(担当ではない)ので分かりません」ということ聞きます。正直とてもムカッときます。心の中では「はあ?何、その言い方?」ってくらいに思っていますが、口には出しません。
「分からないことを間違えて答えたら、自分に責任がかかってくるから、困る」。そんな逃げ腰、責任回避しか伝わって来なくって、顧客や相手のことを考えていないんだな…とその一言が物語っています。時には、この言葉のせいで、電話を延々「たらい回し」にされて、結局何もわからず、最初の部署に戻ってきたときなんて、サイテーって思います。
確かに「担当でもないのに、いい加減な間違ったことを答えてはいけない」という気持ちは分かりますが、もっと他に言い方があると思うのです。そこて応用が利くのが「私でよければ、お伺いしておきましょうか」。そうすれば、相手には「自分にはあなたの満足いく答えができないかもしれないが、あなたの伝えてほしい内容を代わりに聞くことができる」という、相手にも配慮した気持ちが伝わるのです。この一言は便利です。
小さなことこそ、おろそかにしない
思いつくままに3つ書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。
よく言われることですが、自分がされてイヤなこと、不快なことは相手もイヤですし、不快です。
その逆に自分にされて心地良いと思うことは、相手にとっても心地よいことなのです。
極端に「空気を読む」必要なないのです。そんなことをしていたら、あなたが疲れるだけです。
ここで紹介したことは、マナーとか大それたことではありません。
それでもイチロー選手いわく「小さなことこそ、おろそかにしない」気持ちが、ビジネスマナーの基本ではないかと思います。