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弱者が強者に勝つ野球をするために必要な事とは?名将野村克也元監督に学ぶ常勝チームの作り方

連日プロ野球はクライマックスシリーズで熱戦が繰り広げられています。今日はスポーツ番組での的確な解説が有名な元ヤクルト・阪神・楽天の監督だった野村克也監督の育成術について2014年1月に放送された「林先生の痛快!生きざま大辞典」を参考にまとめていきたいと思います。

選手自身に考えるきっかけを与える

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打球の飛距離は抜群ですが伸び悩んでいる山崎武司選手に対し、野村監督は問います。

「君にとって野球とはなんだ?バッティングとはなんだ?」と問うてみたが彼は全く答えられなかった。問いてみるとこれまで20年をこえる野球人生の中で一度も考えてバッターボックスに立ったことがないと言うではないか。(中略)配球などの頭を使った部分にはまったく興味がなく素質だけでバッティングをしていたのだ。「お前もキャッチャー出身じゃないか。相手の立場になって考えてみろ。お前をバッターボックスに迎えて相手はホームランを打たれたくないのだからインコースで勝負してくれる確率は低いだろ。ならインコースばかりマークしてないで相手の立場になって備えというものをしなさい。バッティングは「備え」で結果は8割決まるものだよ。」

こういった選手には本質的に質問を投げかけ、「仕事」に対する深い理解へと導くことが重要なのだろう。

リーダーのための「人を見抜く」力より

プロ野球の世界では才能や能力はあるけれども花開くことができない選手が山のようにいると野村監督は話します。そんな才能ある若い選手に対して「進歩とは何か?」を問うのです。ほとんどの選手はポカンとし答えることができません。

そこで「進歩とは変わることだよ。」と選手に伝え、現在の殻を破る勇気を持つようアドバイスを送るのです。これは一例ですが重要なことは選手自身で考える習慣を持つようにさせる事なのです。

時には「自分は何のために生きているのか?」と人生哲学を問うこともあったようです。これには自分で考えさせ、思考力を上達させる効用の他に自分で考え、腹落ちさせたことに対しては、自然と実行しようとするモチベーションの醸成にも効果がありそうです。

先入観は悪であると自覚する

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ヤクルトの監督に就任後、キャンプで飯田選手を外野手にコンバートします。飯田選手は元々入団時のポジションはキャッチャーでした。

キャンプの際に「キャッチャーにしては足が速すぎる」と野村監督は感じます。キャッチャーで足が速いだけであれば強みの一つとしてそのままスルーしそうですが、その当時ヤクルトのキャッチャーと言えば古田敦也選手が居ました。その古田選手とレギュラー争いさせ、出場機会なければ大きな損失になると感じます。そこでキャッチャーから外野手へのコンバートを指示し、その後7年連続のゴールデングラブ賞(守備が上手い選手に対して贈られる賞)を獲得するなど目覚しい活躍を遂げるのです。

キャッチャーで入団した選手は必ずキャッチャーで使わなければならないという義務はありませんが、先入観とは恐ろしいもので、「彼はこのポジションの専任担当だよね」という認識があると、なかなか他のポジションへコンバートをするのは憚られます。しかし重要な事は選手の特徴を見極めた上で、どこであれば一番活躍できそうなのかを考え、実際に使ってみる事でしょう。

メディアを通じてのぼやきで選手へメッセージを送る

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野村監督といえば、ぼやきを連想させる方は結構居るのではないでしょうか。試合後の恒例行事であるぼやき場面はその日の報道ステーションなどでよく切り取られて放送させていたのを思い出します。負け試合の時には愚痴っぽく、勝利した時には賞賛を、メディアを通じて自分の考えを伝える事で選手へのメッセージを送っていたのです。

第3者を通じて発信する事で直接の衝突を避ける効果もあり、そのぼやきも愛情を感じる言葉です。ぼやきを通じて選手も発奮したことでしょう。

新人選手の育成方法はどのように行うか

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野村監督は「無視→賞賛→非難」の法則を持って新人育成にあたります。

無視…どのような鳴り物入りルーキーであっても特別扱いをしません。ここで無闇に持ち上げたりすると選手が勘違いをする可能性が出てくるからです。

賞賛…次に行うのが活躍や成長を認めることです。タイミングが重要なのですが無視して腐る状態になる前に賞賛を与えることで選手は見られている事を感じもっと頑張ろうと発奮するのです。

非難…これは単に活躍出来なかった事を否定するような類のものではありません。賞賛し一人前と認めた以上は責任を果たす事を期待しているという裏返しの感情です。君ならもっと出来るはずだというメッセージなのです。

君子豹変を恐れない

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大谷翔平選手の登場と二刀流の起用はプロ野球界にとってセンセーショナルな出来事でした。当初野村監督は二刀流での起用に対し「プロ野球をなめている」と発言していましたが、2014年シーズンに日本プロ野球史上初の投手で10勝、打者として10本塁打を記録します。(ちなみにメジャーリーグではあのベーブルースが記録しています)

自らの野球観を一変させる活躍に野村監督は「最多勝とホームラン王の両方を取れ」と真逆のコメントをします。これを君子豹変と言うのですが、君子豹変とは「人格者は自らの過ちに気付くと心を入れ替えたように行動も変化する」という意味であり、自らの考えが間違っていた事を素直に認め、良いと思ったものを取り入れていく姿勢が大切だということです。

おわりに

筆者は残念ながら野村監督の現役時代の活躍は数字でしか知りませんが、ヤクルトの監督に就任してからの活躍は強く記憶に残っています。監督勝利数として歴代5位、万年Bクラスの弱小球団ヤクルトを4度のリーグ優勝と3度の日本一に導きましたし、プロ野球参入から歴史の浅い楽天においてもその手腕で日本一に導くなど、人を育て勝つチームに生まれ変えさせる方法はもしかしたらあなたの仕事場でも役に立つ事があるかも知れません。

管理者の立場ではない方でも、「選手自身に考えるきっかけを与える」であったように「~とは」を自問自答する事でより自分自身の考えが洗練されると思います。

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