日本語はとても難しいです。
30歳を超えても間違えて覚えている日本語はたくさんあって、たまに恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。今日はそんな間違いやすい日本語を厳選して本来の意味と一緒にお伝えします。いろいろなサイトでも紹介されていますが、普段使う機会が比較的多い言葉だけを集めました。本来の意味を理解していたかチェックしてみて下さい。
目次
◆本来の意味を間違えやすい日本語
- 【役不足】と【力不足】の違い
- 【しおどき】はちょうどいいタイミング
- 【情けは人の為ならず】は自分のためにやること。
- 【辛党】が好きなものは、お酒。
- 【懐石料理】と【会席料理】の違い
- 【失笑】は冷たい笑いではない
- 【歌のさわりの部分】は始めじゃない
- 【小春日和(こはるびより)】は春ではない
- 【他力本願】は他人まかせってことではなかった
- 【煮詰まる】は、行き詰ってない
- 【敷居が高い】は、「自分には場違い」ではない
- 【姑息(こそく)】は卑怯ではない
- 【確信犯】は信念があるかどうかが重要
- 【一本締め】人によっては、「よぉ~、パン!」
◆言い間違いをしやすい日本語
- 「声をあらげる」のか「声をあららげる」どっち?
- 「愛想を振りまく」ではなく「愛嬌を振りまく」
- 【代替】は、「だいがえ」ではなく「だいたい」
- 【凡例】は、「ぼんれい」ではなく「はんれい」
- 【うる覚え】なんて存在しない
- 【舌鼓】は「したづつみ」ではなく「したつづみ」
- 【元本】は「がんぽん」、【原本】は「げんぽん」
本来の意味を間違えやすい日本語
【役不足】と【力不足】の違い
【役不足】とは、
その人の力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。【力不足】とは、
与えられた役目をこなす力量がないこと。
例えば、「役不足ではございますが、私がこのチームのリーダーを務めさせていただきます」と就任挨拶をしたとします。その意味は、「(皮肉たっぷりに)こんなチームのリーダーなんて、自分にはレベルが低すぎて、まったくやる気はでないけど、仕事だからしょうがなくやりますよ!」って感じになります。間違えて使っていたら大変なので、注意してください。
【役不足】の正しい使い方
「あなたには役不足で申し訳ないけど、人手が足りないから今日だけこの仕事を手伝ってくれる?」
【力不足】の正しい使い方
「彼がマネージャーに昇格するなんて。まだ力不足だと思う」
【しおどき】はちょうどいいタイミング
しおどき【潮時】
ある事をするための、ちょうどいい時期。
広辞苑にあるように、「潮時(しおどき)」は、「ものごとの終わり」でという意味ではなく、「物事を行うのにちょうどいいとき」というのが本来の意味です。
よくスポーツ選手が引退するときに、「今が潮時だと思った」なんて言いますが、「やめるにはちょうどいい時期だと思った」というのが正しい意味になります。何かをやめるときによく使う言葉なので、【潮時=やめる、終わる】という意味が広がったのだと思われます。
ちなみに、「国語に関する世論調査」では、6割が「ちょうどいい時期」と答え、4割近い人が「ものごとの終わり」という意味であると答えました。
【情けは人の為ならず】は、人のためではなく、自分のためにやること。
この言葉は、「情けをかけることは、その人のためにならない」という意味ではありません。本来の意味は、「人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」ということです。
正:人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる。
誤:人に情けを掛けて助けてやることは、結局はその人のためにならない。
?人には優しく接しましょう。
【辛党】が好きなものは、お酒。
【甘党】と【辛党】という言葉の意味は、「甘いもの好き」、「辛いもの好き」ではありません。
本来の意味は、
【甘党】お酒より甘い物をよく食べる人のこと。
【辛党】甘い物よりお酒をよく飲む人のこと。
最近では、ただ単に「甘いもの好き」、「辛いもの好き」という意味で使われることが多いので、相手次第です。
【懐石料理】と【会席料理】の違い
「懐石料理」は、豪華な料理というイメージがありますが、これは間違いで「簡素な料理」といったほうが正しいです。よく「会席料理」と間違われますが、意味は全く別のものになります。料理の目的も違います。
懐石と会席料理は音が共通するため、しばしば混同されるが、両者は全く別のものであり、料理を提供する目的も異なっている
懐石は茶事の一環であり、茶を喫する前に出される軽い食事で、酒も提供されるが、目的は茶をおいしく飲むための料理である。
一方、会席料理は本膳料理や懐石をアレンジして発達したもので、酒を楽しむことに主眼がある。
料理の提供手順も異なっているが、顕著に異なるのは飯の出る順番である。懐石では飯と汁は最初に提供されるが、会席料理では飯と汁はコースの最後に提供される。
【失笑】は冷たい笑いではない
「失笑」は、「笑いを失う」と書くので、「笑いも出ないくらいあきれる」といった意味で使われがちですが、本来は「笑いを抑えることができず吹き出す」という様子を言ったものです。
正:おかしさをこらえることができず吹き出すこと。
誤:冷たく笑う。
上司が真面目な話しているのに、ちょっとツボに入って、(やばい!おもしろい!我慢できない!ぷふっーーー)ってなることを「失笑」といいます。ただ、この言葉も最近では「笑いもでないくらいあきれる」という意味で捉えている人のほうが多くなっており、本来の意味のほうが通じなくなってきています。
「失笑」について、もっと詳しく知りたい方は文化庁のページがわかりやすいので紹介しておきます。
[blogcard url='http://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2013_03/series_10/series_10.html' width='' height='60' class='' style='']
【歌のさわりの部分】は始めじゃない
「歌のさわりの部分」というのは、始まりの部分ではなく、正しくは「その歌の一番の聞かせどころ」という意味です。大体はサビの部分になります。
「この歌のさわりを歌ってみましょう」、「歌のさわりを聞く」などと使いますが、意味としては、「この歌のサビの部分を歌ってみましょう」、「一番盛り上がる部分を聞く」ということになります。
正:サビ、一番よいところ
誤:始まりの部分。一部分。
【小春日和(こはるびより)】は春じゃない
「小春日和」は「小さい春」と書くので、春に近い時期だったり、春のような暖かい日をそう呼ぶのかなと思いがちですが、時期がちゃんと決まっています。それは11月から 12月上旬にあたる時期です。晩秋から初冬にかけてあらわれる穏やかな暖かい晴天の時期のことを「小春日和」といいます。
正:秋(11月)の春みたいな穏やかな気候。
誤:春のような陽気な気候。
『他力本願』は他人まかせってことではなかった
「自力」は自分の力なので、「他力」は他人の力と解釈して、「自分の力と言うより、他の人にまかせよう」という意味で使われることが多い、この言葉。本来の意味は、かなり深い意味となってます。
「他力本願」のうち、「他力」とは他人の力をあてにすることではなく阿弥陀如来の力を現す言葉であり、「本願」とは人間の欲望を満たすような願いのことではなくあらゆる人々を仏に成らしめようとする願いのことである。
出典 他力本願 - Wikipedia
これを読んでもピンと来ない人は多いと思いますが、この言葉はいろいろ調べましたが、本当に難しいです。あまりにも内容が深すぎてうまく伝えられるか自信がありませんが私の解釈をお伝えします。
「他力」とは、他人の力ではなく、仏様の力のことを言います。「他力本願」とは、自分の力だけではなく、仏様の力によって人は生きており、その力によっていい方向にいくから身をまかせるということです。自分以外の何か大きな力が自分を支えているという考え方です。宗教的な考え方です。
という難しい意味が広がるはずはなく、今では、「他人まかせ」という意味で認知されています。偉い政治家さんも本来の意味ではない「他人まかせ」という意味でこの言葉を使って、注意を受けたことがあります。
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【煮詰まる】は、行き詰ってない。
煮詰まるとは、行き詰るということではありません。正しくは、「もう少しで結論がでる」という意味です。行き詰るなんてとんでもない、もうちょっとで結論出ますよってことです。
正:討議・検討が十分になされて、結論が出る段階に近づくこと
誤:行き詰まる
注意 世代間で意味のとらえ方が違う場合も!
文化庁が「煮詰まる」の使い方を調査したところ、若い世代と、年配世代の結果が逆転していることがわかりました。新入社員くらいの若い世代は、【煮詰まる】を「結論が出せずに行き詰った状態」と答えた人が多く、上司にあたる年配世代は「そろそろ結論が出る状態」と答えた人が多かったのです。
上司が部下に対して、仕事の進み具合を確認したとします。
上司「あの件、どうなった?締切が近いが、もう結論は出そうか?」
部下「そうですね。。かなり煮詰まってきました。」
上司「そうか。それなら引き続き頼むよ!」
部下「はい。。。」
上司はそろそろ結論が出るってことなら問題なさそうだと考え、部下はどうしていいかわからず、行き詰っていると報告したつもりでいます。最近は違う意味が広がってきているので、こういう勘違いが起きないよう注意してください。
【敷居が高い】は、自分には場違いという意味ではない
正:後ろめたくて行きづらい
誤:対象の水準(レベル)が高くて手を出しにくい
【敷居が高い】は、「高級すぎるから入りにくい」「自分には場違いなので入りにくい」という意味ではありません。正しくは「相手に迷惑をかけたり、後ろめたいことがあったり、その人の家に行きにくい」という意味です。後ろめたくて行きづらい場所のことをいいます。
相手に怪我をさせてしまい、その人の家に謝りに行くときなど、「敷居が高い」と言います。
【姑息(こそく)】は卑怯ではない。
【姑息】は、卑怯だという意味で使われることがありますが、その使い方は間違いで、正しくは「一時しのぎの、その場のがれの」という意味です。
「姑息な手段」というのは、「卑怯な手段」ということではなく、「その場しのぎの手段」という意味になります。
【確信犯】は、ただ悪いとわかってやったことではない。
この言葉は、「悪いとわかっていながら犯罪を行う」や、「間違っているとわかっているけどあえてやる」というような意味でよく使われますが、本来の意味は違います。正しくは、「道徳的、宗教的あるいは政治的な確信に基づいてなされる犯罪」のことです。
幕末、水戸・薩摩の浪士達が江戸幕府の大老・井伊直弼を襲撃し、暗殺された『桜田門外の変』ですが、これは、信念に基づいて「正しいことだ」と思い込んで行った犯罪なので、【確信犯】といえます。
悪いことだとわかってはいるけど、商品が欲しくてお店から万引きすることは【確信犯】とは言いません。ただの万引き犯です。信念に基づいているかどうかがポイントです。
ただこの言葉も、「悪いとわかっていながら犯罪を行う」という意味が広がっていますので、その意味で使っても通じます。
【一本締め】人によっては、「よぉ~~、パン!」
本来、【一本締め】というのは、「パパパン、パパパン、パパパンパン!」と、3回、3回、3回、1回の計10回手を叩くものです。ちなみに一本締めを3回繰り返すのが、【三本締め】です。
9回叩いた後に1回叩いて合計10回。9を漢字で書くと「九」です。これに『一』を加えると「丸」という漢字になります。10回叩くのは、最後に会が「丸くおさまる」からというのがルーツとも言われています。
「よぉ~~、パン!」と手拍子1回で終わるものは、【一丁締め】といいます。
注意 関東では、「よぉ~~、パン!」が一本締め
手拍子1回は、【一丁締め】といいますが、関東では【一丁締め】を【関東一本締め】とも言います。
参加者が全員関東人で、「それでは一本締めでお願いします」と言われたときは、おそらく「よぉ~~、パン!」で終わります。それが、関西や九州など別地域でやる場合は、「パパパン、パパパン、パパパンパン!」と、10回になると思います。全国の人が集まっている場であれば、前もって確認してから「一本締め」をやるといいです。
内輪のこじんまりした宴会などでは、一本締めや三本締めは長くなってしまうので、お店などで周りの配慮として【一丁締め】を使うことが多いです。
言い間違いをしやすい日本語
「声をあらげる」のか、「声をあららげる」どっち?
「声を荒立てる」「激しい声で言う」ことを、「声を荒らげる」といいます。読み方ですが、実は「声をあららげる」が本来正しいです。
ただ、最近の調査では、「激しく声をだすこと」を「声をあらげる」と言う人がほとんどになっています。テレビでも、普通に「声をあらげる」と使われています。というわけで、『声を荒らげる』は、「あらげる」でも「あららげる」でもどっちも正しくなっており、最近では「あらげる」のほうが通じやすくなっています。
「愛想を振りまく」ではなく、正しくは「愛嬌を振りまく」
【愛想】(あいそ、あいそう)は、良いか悪いかと表現され、振りまくのは、【愛嬌】です。
【愛想】の正しい使い方は、「愛想よくふるまう」「愛想のよい人」「愛想をつかす」。
【代替】は、「だいがえ」ではなく、正しくは「だいたい」と読む
「代替わり(だいがわり)」とはいうが、【代替】は「だいがえ」と読まず、「だいたい」と読むのが正しい。
ただ、「替」という文字を「たい」と読むことが少なく、「がえ」と読むことがあり、「だいがえ」と読む人が増えてきたそうです。というわけで、「だいがえ」と読んでも間違えではありません。「だいがえ」派もかなり多いです。会社や業界によって「だいがえ」が主流になることもあります。
【凡例】は、「ぼんれい」ではなく、「はんれい」と読む
凡例の「凡」という字は、「平凡」や「凡人」と同じく「ぼん」と読みたくなりますが、「はんれい」が正しい読みです。
正:はんれい
誤:ぼんれい
本のはじめに、その本の編集方針や利用のしかたなどに関する部分のことを「凡例」といいます。図表グラフなどで使用された記号や線の意味を説明している部分も「凡例」です。
【うる覚え】なんて存在しない。
なぜ【うる覚え】と言う人が増えたのかは謎ですが、正しくは【うろ覚え】です。
【うろ覚え】とは、「覚えている(もしくは理解している)内容が曖昧なこと」です。
【うろ覚え】をうろ覚えしていたから、【うる覚え】という言葉が出てきたのかもしれません。
【舌鼓】は、「したづつみ」ではなく、正しくは「したつづみ」
【舌鼓】の昔からの正しい読みは、「したつづみ」です。
おいしいものを食べた時に「舌鼓を打つ」と使いますが、正しくは「したつづみをうつ」と読みます。ただ、「したづつみ」と読む人も増えて、普通に通じるようになっているため、どちらでもよくなっています。辞書にも両方の読みが書いてあります。あまり気にしなくても大丈夫です。
【元本】は「がんぽん」、【原本】は「げんぽん」
【元本】の読み方は、「がんぽん」です。
意味は、
(1)もとで。元金。
(2)利益・収入を生じるもととなる財産または権利。預金・貸家・株券・著作権の類。「―保証」
【原本】 読み「げんぽん」
(1)翻刻・翻訳・抄録などする前の、もとの本。
(2)一定の内容を表示するため、確定的なものとして作成された文書。謄本・抄本などのもとになる文書。「公正証書―」
(3)物事の根本。おおもと。「―にさかのぼる」
最後に
間違いやすい日本語いかがでしたでしょうか。知らなかった言葉やその意味もあったと思います。是非、普段の会話で使ってみて下さい。
今回紹介した言葉の中には間違って広がってしまった意味もたくさんあります。正しい意味で使っているのに、間違っているよって思われることもあるかもしれません。話す相手によって意味を変えて使う必要が出て来るかもしれませんので、注意が必要です。そういうところが日本語の難しさなんでしょうが、めんどくさいですね。