マネジメント

マネジメントスキルの基礎~コーチング型のマネジメント手法~

はじめて課長やマネージャーと言った管理職に昇進した人の中には、マネジメントに関する知識がなく、部下をどの様に統率管理して、自組織の成果を最大化すればいいのか悩む人も多いです。

管理職になる前でも部下を指導する事はもちろんありますが、あくまで自分もプレーヤーであるので、部下育成や組織の成果といった責任は上司である管理職の人が担っています。それまでは下から突き上げられたり、上から強く要求されたりする事も少ないですが、管理職になると一気にその責任や追及が厳しくなるので、マネジメントで悩む人が増えます。

ここでは、マネジメントの基礎知識のひとつである『コーチング型のマネジメント法』をご紹介したいと思います。マネジメント手法で悩んでいた方に少しでもお役に立てればと思っています。

 

古いスタイルのマネジメント手法

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部下を統率管理するスタイルとしては、いくつかのパターンがあります。

1番目は、昔ながらの強い要求型のマネジメントスタイルです。
この方法は、部下に発破をかけ、部下にノルマを課したりし、強く当たる手法です。
仕事上は強く当たっていても、オフには飲みにケーションを図っているので部下がついて来ると考えているタイプの人が多く、いわゆる昔ながらの親分肌的な人が採るマネジメント手法です。

この方法は、優秀な人はそれでも成果を出しますが、平均的な社員の成長を促し、組織としての成果を最大化するには不向きなマネジメント方法だと、近年では考えられています。

また能力が平気以下の社員にとっては、単に厳しい要求だけされ、指導がないと言う不満と不信感が募り、パワハラと受け取られたり、部下を追い込む結果を招く危険性さえあります。

 

コーチング型のマネジメント手法

第2のマネジメント手法として、近年注目されているのが、コーチング型のマネジメント手法です。

これは、部下の能力をしっかりと把握し、その部下の能力に応じた仕事の要求と指導とのバランスを取り、部下の能力を引き上げる事で組織のアウトプット成果を最大にしようとする手法です。

一般的に会社における社員の能力は、上司がどんな人でどんなマネジメントをされても、成果をきっちりと挙げてくれる優秀層は15%程度、どれだけ指導しても指導のし甲斐がなく足手まといと成りがちな層が15%程度、そして指導次第で能力発揮が大きく違って来る平均的な層が70%程度と言われています。

コーチング型のマネジメント手法は、特にこの70%の平均的な能力の人にフォーカスし、そうした部下の能力を引き上げる指導・コーティングを適切に行う方法です。

大多数の平均的な能力の人に最大限仕事をしてもらう事で、組織としてのアウトプットが最大となるのは理に適た手法だと言えます。

 

コーチング型マネジメントを実践する方法

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野球の世界で良く言われる「名選手必ずしも名監督ならず」と言う言葉は、ビジネスの世界でも同じです。

多くの管理職は、仕事ができる事で管理職に抜擢される事が多いのは事実ですが、優秀な管理職となるには心構えとマネジメントのスキルを身に付け、プロのマネジメントになる必要があるのです。

心構えとしては、管理職は偉いのではなく、「社員と仕事の役割を分担しており、自分は部下育成や部下管理の役割を担っているのだ」と言う考え方に立つべきでしょう。
こうした心構えを持つ事で、初めて部下の能力にまで下がって、部下の気持ちになって指導する事が可能となるのです。

その上で、部下に対するコーティングの実践手法としては、年度初めに部下にキャリアッププランを作成させ、それを基に毎年度部下のキャリアアップ計画を立て、それを共有する事でスタートとすれば良いでしょう。

キャリアップ計画は、自部署の仕事の大項目とそれぞれの細部項目に区分し、細部項目毎に何ができ、何が出来ていないかを明確化し、できていない項目を、本年度はどこまでできるようにスキルアップを図るのかを明確化し、そのスキルアップのために自己啓発や社内教育の受講計画などの具体的な方法まで落とし込みます。

そして次年度には、その目標達成度と新たな年度の計画を共有化するのです。

各部課のこうしたキャリアアップ計画に則って、仕事を意識的に与えたり、仕事のOJT(*1)を行うと言った方法が実践的な手法として効果的だと言えます。

(*1)OJTとは

職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

出典:Wikipedia

 

さいごに

昔ながらのマネジメント手法では、優秀層のみの仕事に頼る事となり、部下の尻をいくら叩いても組織としての成果は中々出にくいものです。

管理職になれば、自分は偉いのではなく、管理職と言う役割分担を与えられているもので、新たにマネジメントのプロを目指すと言う心構えを持つべきです。

その上で、部下の能力やスキルを部下と共有化し、各年度毎にそのスキルをどれだけ向上させたり、拡大させるかと言うキャリアアップ計画を共有化し、それを基にOJTやOFF-JT(職場外での教育訓練)で部下の能力を高める事に最大のエネルギーを費やす、コーティング型マネジメントを実践すると良いでしょう。

仕事の管理以上に、部下のスキル管理と育成を図る事で、組織の仕事のアウトプットを最大化するマネジメントに徹するべきなのです。

 

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