知っておきたい児童養護施設と乳児院
何らかの事情があって親と一緒に暮らせない子供の為にある施設として、「乳児院」と「児童養護施設」があります。
・乳児院は2才まで
・児童養護施設は2才から18才まで
今回は児童養護施設についてお話しをしたいと思います。
自立して社会に出られる様に指導していくのがスタッフの役割
児童養護施設で働くスタッフの仕事は、入所している「子供達の親代わりとなること」です。
24時間体制で子供達と一緒に暮らし、時には「生活指導」、時には「一緒に遊ぶ」ことで子供達に深く関わっていきます。
ここで注意して頂きたいのは、「親と一緒に暮らせなくて寂しい思いをしている子供達の為に親代わりになってあげたい」という気持ちだけではいけません。
「この子が社会に出ていけるようになるにはどう接していくのが良いのだろう?」と常に考えて行動していきましょう。
現在、子供達が児童養護施設にいられるのは18才までです。
それからは自分で生活をしていかなければなりません。
それまでに私たちがするべきことは「自立して社会に出られる様に指導していく」これが一番大切な役割であると考えています。
児童との関わり方
全ての子供ではないのですが、児童養護施設に入所している子供達の中には、親が育児放棄をしたり、虐待をした為に預けられていることもあります。
心に傷を負った子供達は「発達障害」になっているケースもあり、情緒不安定、怒り易い、執着心が強いなど、スタッフになりたての頃はもしかするとその行動が分からず悩むかもしれません。
そういった子達の気持ちを理解する為に知識を入れておくのも大切であると思います。
例えば何か悪いことをした子供がいたとします。
その時に普通の子供の様に注意すると、激しく落ち込んでしまったり逆に攻撃的になる子供もいるということを知っておきましょう。
また、スタッフに対して「自分のことを本当に気にかけてくれているかどうか」試しの行動をする場合があります。
「試の行動」とは、わざと困らせる様なことをしてどの様な態度を取るか様子を見るのです。
その時に困った様な顔をしてしまうと余計に子供は心を閉ざしてしまいます。
試しの行動を取る子供に対しては毅然とした態度で決して怒らず、粘り強く説得をしていくことが大切です。
「つきまとう行動」に対しては今何をするべきなのか優先順位を教えてあげて、そちらに注意を向けさせます。
「気に入らないとすぐに怒ってしまう行動」に対しては、どんな対処法があるのか幾つか選択肢をアドバイスしてあげて、本人が選んだ方法を手伝ってあげる様にします。
例に上げたのは一部でしかありませんが、一番大切なのは
・声を掛けられた時に必ず顔を向けて話を聞いてあげること
・やるべきことはこちらからも声を掛けてあげること
です。
ここまでの話を聞いて、もしかしたら子供達と一人一人向き合って生活をするのは大変だと感じるかもしれませんが、それぞれの施設には既に沢山の経験を積んでいる先輩方がいますので、安心してください。
子供達の為にも自分からどんどん先輩に相談・アドバイスを求めて、子供達と関わり合い経験を積みながら成長していきましょう。
「この子達と出会えて良かった」と感じる仕事
日々子供達に接していると、次第に信頼される様になり、他には見せない様な笑顔を見せてくれたり、色々な話をしてくれたりする様になります。
こちらから声を掛けると嬉しそうな顔をしたり、機嫌が悪い時でも「構って欲しい」という態度を見せてくれます。
子供達はとても素直な心を持っています。
信頼を得ることができたら、あとは自立に向けてしっかり指導をしていきましょう。
一度教えたことを実践してアピールしてきたらすぐに褒めること。
スタッフ同士の連携も忘れずに。
児童養護施設のスタッフの仕事は大変なこともありますが、このように子供達が信頼してくれて、ぐんぐんと成長していく様子が見えるというのが、やはり一番のやり甲斐だと思っていますし、「この子達と出会えて良かった!」と思っています。
これからこの仕事を目指す皆さんを応援しております。