『雑談力』
何年かまえにベストセラーにもなった本もありましたが、普段何気なくやっている雑談ですが、あたりさわりのない無意味な雑談ではなく、「意味のある雑談をすれば、仕事や人間関係が変わる」とも言われています。
意味のある雑談があるとは、なかなか意識しないと思いませんが、雑談を大切にすることで人生が変わると言っても過言ではありません。
是非ふだんの会話を大切にする習慣をつけてもらえたらと思います。意味のある雑談にするために、まず最初に意識してやってほしいことを今回は2つご紹介します。導入編みたいなものです。
仕事の雑談は大切な「仕込み」
あなたは目的意識を持って雑談をしていますか?
雑談に目的意識をもって雑談をする人のほうが少ないと思いますが、けっこう大事なことなんです。
これまで仕事仲間や上司と話しをしていて、あなたの何気ない一言で、自分がやりたいと思っていた仕事に就かせてもらえたり、逆にその仕事の担当を外されてしまったりしたことはないですか?他にもあなたが発した一言が新商品のキャッチコピーやテーマに取り上げられたり、そんな経験一度はないでしょうか?
レストランや居酒屋でも必ず「仕込み」があるように、ビジネスにおいても「仕込み」は欠かせません。
もし「仕込み」がなければレストランや居酒屋でもスピード感を持って素材の味を活かした美味しい状態での料理は提供出来ません。ビジネスにおける仕込みの部分は、実は雑談から生まれているんです。そうなると、雑談を「雑」に扱うことは出来ません。
もっと契約を取りたい
新規の企画を通したい
あの取引先の担当ともっと仲良くなっておきたい
上司からの信頼関係を築いてステップアップしたい
あなたがもしそんな意識を持っているならば、今日から雑談をするときはしっかりと目的意識を持つとよりいい方向にいくことでしょう。
それでは、意識してやってほしい雑談ノウハウをご紹介します。
その1.ほめる
雑談で相手の距離感を一気に縮める方法として、一番簡単なのは相手のこだわっている物や価値観をほめることです。
例えば商談の場面であれば、相手のスーツ、ネクタイ、カバン、財布、名刺、ケータイ、PC、タブレット、手帳、ペン、あるいはオフィスの会議室にある観葉植物や壁一面に貼られたホワイトボード、会議室の名前が各国の川の名前になっている事。などなど、探せばおっと思うような物はすぐに見つかります。
私の知っている訪問販売でいつもトップクラスの成績を上げる営業マンは玄関の中に、雑談のヒントを探していると言っていました。有名な野球選手のサインボールや、旅行写真、どこの国かわからない正体不明のお面や木彫りの像など。そういった物を見つけては「へ~○○選手のサインボールもらったんですか?」とか「これはどこの国の物ですか?」と質問しながら相手がお金を掛けるほどの価値観を探っていくというのです。
ここでひとつ注意点としては、自分の価値観を押し付けない事です。野球のサインボールの例であれば「僕はサッカーの方が好きなんですよね」と言った話はNGです。それは「この人とは合わないな」と思われてしまったら最後、きっと本音を語っては頂けないからです。
何より重要なことは信用を築く事。そのためには「この人となら合いそう」と思ってもらう必要があるのです。相手の価値観に寄り添う姿勢でまずは信用を築いていきましょう。
その2.興味を示す
以前、「なぜかかわいがられる人の共通点」の記事でも紹介しましたが、基本的に人は自分に興味を示してくれた人に対して好意を抱く傾向があります。
普段の会話、雑談の中でも、興味を示すことを忘れないようにするとぐっと相手との距離が近づきます。興味を示すためにはしっかりとした相槌を返すということです。
うまい相槌を返すために、【さしすせその法則】というものがあります。周りからよくかわいがられる人は【さしすせその法則】にプラスして「詳しく教えてください」と、興味を持って質問をすることが多いです。
うまい相槌【さしすせその法則】
上記の記事でも紹介していますが、【さしすせその法則】とは、
【さ】・・・さすがですね
「さすが●●さんですね!それでその後はどうなったんですか?詳しく教えてください!」
【し】・・・知らなかったです
「それは知らなかったです!詳しく教えてください!」
【す】・・・すごいですね
「それはすごいですね!もっと詳しく教えてください!」
【せ】・・・センスが良いですね
「センスが良いですね!どうやったらそんなセンスが身に付けられるんですか?詳しく教えてください!」
【そ】・・・そうなんですか、そうだったんですか
「そうだったんですか!それでその後はどうなったんですか?詳しく教えてください!」
さらに相手が知っていても「知らないフリをする」というのも効果的です。
「あぁそれ知っています!」と喉から手が出るほど言いたくなると思いますが、知識の競争をしているわけではなく目的は情報を引き出す事ですから、相手の知っている知識を目一杯話してもらいましょう。そして最終的に「つまりそれってこういう事ですか?」などと要約して確認を促すと「そうそうそういう事!君デキるねぇ!」という反応を引き出す事に成功するのです。
社内調整は雑談を有効的に使おう!
最近はいわゆる飲みニケーションを敬遠する若手ビジネスパーソンが増えていると聞きます。会社の飲み会が面倒臭い、そんなものに時間を割くくらいなら自分の時間を大切にしたい。そんな気持ちも十分理解出来ます。
しかし会社の飲み会はデメリットばかりな場ではありません。飲みニケーションの場こそ「影の商談会」と言っても良いほど重要な場になります。
例えば、自分の希望するプロジェクトや企画を通したい時に、ビジネスタイムに上司に「この仕事をやらせてください!」と直談判しても厳しいツッコミにさらされて返り討ちにあう可能性が高いものです。デキるビジネスパーソンは飲みニケーションのような雑談で足場を固めるのです。自分の利だけではなく、会社方針・部署方針に即した上司が絶対にNOと言わないような提案を持ちかけるのです。
「実はこんな風に考えてまして、自分としてはこういう事をしたいんですよね。」と。これで上司からの承認を得れれば占めたものです。後日、上司に「先日のあの件についてもう少し詳細を詰めたいのですがミーティングさせて頂いてもよろしいですか?」と話を進めていくのです。
飲みニケーションのほかにも喫煙所や社内イベントなどの場も有効的に使えます。「ほめる」「興味を示す」の2つのことを意識しながら話をして、信用を高めていってください。
最後に
「段取り八分」という言葉があるのはご存知の事でしょう。
仕事を進める上で段取りの部分で八割決まるという事ですが、デキるビジネスパーソンほど雑談を有効的に活用し、仕事を推進させる段取りを雑談によって固めていくのです。
是非、今日からあなたも自分の雑談を見直して、仕事を推進させる雑談を意識してみてください。
すべての偉大な成功は、
地味で面倒なことの積み重ねの上に
成り立っている
~ P・F・ドラッカー ~