人前でプレゼンテーションしたり、知らない人と喋る時って緊張しますよね。
特に日本の教育では”受け身”の授業がほとんどなので、人前で喋ることが得意な人は相対的に少ないはずです。
だからこそ人前で話す能力というのは重宝されるし、プレゼンテーション能力が高い人、物怖じせずに人と会話することができる人は出世が早いのです。
私はセミナー講師にあうと必ず聞く質問があります。それが「人前で話す時って緊張しないんですか?」という質問です。
そうすると決まってセミナー講師の方は「緊張しますよ」と答えます。
では何故「緊張しても人前で話すことができるのか?」「話そうと思うのか?」について、脳科学的な解説も踏まえながら「人前で話すのが楽になる方法」という軸でご紹介していきます。
なぜ人は緊張するのか?
まずそもそも「何故人は緊張するのか?」という話ですが、緊張したくないのは誰しもがそうですよね。意識的に緊張をコントロールできるのであれば誰も緊張しないようにコントロールするはずです。
つまり緊張は無意識に行なわれるもので、コントロールするのはほぼ不可能です。
人間自体の歴史を紐解いていくと、人が誕生して約5億年が経過していて、多くの人が共存し始めたのはここ数十年?数百年の話です。例えば戦国時代やその前の時代では日本国内で頻繁に争いが起きていたし、「村社会」と言われるように、村の外の人はある種”敵”のような存在だったのです。
そのような「自分の知らない人に囲まれるのは命の危険性がある!」ということを遺伝子的にインプットしているので、大勢の人の前に出ると心臓がバクバクと高まるのです。
だから「緊張してきた…落ち着こう…」というのは原始的な脳の反応を抑え込もうとしているということなので、ある種かなり重労働であり、非効率なことをしていることになります。
実はこの原始的な脳の性質を”抑え込む”ではなく”利用する”ことで緊張を味方につけることができます。
緊張を味方につける方法
前述したように緊張をしないように努力するのはある種時間のムダで、どんな人でも緊張はするものです。
ベストセラー作家で講演家の方や、有名アーティストの方でも「毎回セミナー前は緊張する」「明日はライブで緊張する」という風に言っているところを見ると、『緊張をしないようにする』ということは諦めた方がいいでしょう。
「諦めるっていっても、じゃあ毎回緊張して失敗しろってこと??」というとそういうワケではありません。緊張にも使い方があるのです。
先にご紹介したように、緊張状態というのは心臓がバクバクと脈打ち、血液の流れが速くなっている状態です。
実はこれ、身体が順応しようとしている証拠なのです。
つまり「この状況を乗り越えるにはいつも以上にエネルギーが必要だ!」と身体が無意識に反応している状態です。「落ち着け!落ち着け!」と緊張を抑制しようとするのは、ある種エンジンの掛かった車にブレーキを掛けているようなものなので、逆にエネルギーがグチャグチャになってしまい空回りしてしまいます。
じゃあどうすればいいのか?というと、『緊張しているエネルギーを思いっきり使う』と心に決めることです。
つまり緊張してきた時に「ヤバい…緊張して震える…」と捉えるのではなく、「よっしゃ!エネルギーが高まってきた!!」と捉えるということです。
緊張の捉え方を変えるだけで成功確率が上がる
実際に心理学者の実験でプレゼンを行なう前のAグループ、Bグループのそれぞれの学生に下記のようなアドバイスをします。
Aグループ
→「緊張したらすぐにリラックスするように心がけなさい」
Bグループ
→「緊張してきたらそのエネルギーを利用してエネルギッシュにプレゼンしなさい」
たったこの一言のアドバイスだけでプレゼンが終わった後に「今日はいいプレゼンができた!」と感じたのはBグループの方で、プレゼンを聞いていた観客も「Bグループのプレゼンの方が良かった!」と感じたのです。
これを読んで分かる通り、これは「プレゼンの時はこう言いなさい」というような小細工テクニックではなく、根本的な『脳』の使い方です。つまりマインドセット(経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態)を根底から変えて緊張を味方にしてしまう方法です。
これは実は、プロスポーツ選手なども取り入れている心の使い方なのです。
まとめ
人前で話す時に緊張したらこの記事を思い出してください。
最初に「セミナー講師の人も緊張している」とご紹介しましたが、その人達がそれでもセミナーを成功させる秘訣は実は今回紹介した脳の使い方にあったのです。
「緊張したらエネルギーが湧いていると思え!」。これって今すぐ誰でもできますよね。
でも知らない人が多いのです。
何故なら「緊張しないで!」「リラックスして!」と『緊張』=『悪者』という風に刷り込まれている人が多いからなのです。それがマインドセットになってしまっているということですね。
緊張VSリラックスという風に感情と理性をぶつけてしまうと余計に身体はガチガチに硬直してしまいます。
逆に緊張の作るエネルギーをうまく活用すればイキイキと人生を送ることができます。
是非試してみてください。